国内

「日本は自分達が守る」 自衛隊を作った旧日本軍精鋭の熱情

 戦後70年、自衛隊の発足からも早60年が経ったが、その間、ひた隠しにされてきた歴史的事実がある。それは、旧日本軍の精鋭たちが自衛隊創設に多大な貢献をしたということだ。なぜその史実は伏せられてきたのか。存命の元日本軍エースパイロットたちの証言を集めた『撃墜王は生きている!』(小学館刊)が話題を呼ぶジャーナリストの井上和彦氏が解き明かす。

 * * *
「自衛隊」という名称は、憲法9条との整合性を保つため、「戦力ではなく、専守防衛のための自衛力である」という言い訳のために用意された言葉である。これを補強するために、「自衛隊は旧日本軍とはつながりのない別の組織である」というお題目も唱えられてきた。「太平洋戦争史観」という自虐史観で語られる日本軍と自衛隊は縁もゆかりもないというわけだ。

 しかし、現実はまったく逆である。国土防衛の必要性を痛感した旧軍の元軍人が集結し、その基礎をつくったのが自衛隊だといっても過言ではない。

 拙著『撃墜王は生きている!』では、銃器や防弾板をはずした丸裸の機体でB29に体当たり攻撃を仕掛けて撃墜し、生還した陸軍第244飛行戦隊の小林照彦戦隊長の逸話を収録している。

 小林氏は戦後、民間人となったが、朝鮮戦争さなかの昭和27年3月、日本の国土防衛を在日米軍に依存している状況を憂い、米極東空軍司令官宛てに「日本人空軍部隊創設請願書」なるものを提出した。そこにはこう書かれている。

「我々は現在の非常事態に直面して、我が国の国防を貴軍(米軍)にのみ依存して、安閑たり得ないのであります。(中略)斯くて我々は、自ら進んで、貴空軍と協同して、これが防衛の一翼を担わんものと熱望する次第であります」

 これはまさに、航空自衛隊の創設主旨とも言える。

 旧軍出身者のなかには、小林氏と同じ思いをもつ元軍人が多数いた。実は、小林氏も含め、本書で“撃墜王”として紹介した元戦闘機パイロットの多くが、戦後に航空自衛隊に入隊している。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト