国際情報

中国「南シナ海の万里の長城」建設中 総経費は1兆4000億円

「北京・中南海ではいま、中国の対外環境を表す言葉として『冷和(冷たい平和)』という単語が飛び交っている」──こう明かすのは北京の外交筋だ。

「冷たい平和」とは冷戦時代のようなあからさまな敵対関係ではないが、さりとて友好関係ではなく、相互不信により冷却化している2国間関係を意味する。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。

 * * *
 中国が「冷たい平和」の端的な例として持ち出してきたのが対日関係だった。中国共産党機関紙「人民日報」海外版のニュースサイト「海外網」は昨年4月22日、「中日関係は単なる『冷たい平和』なのか」と題する記事を発表した。

 これは沖縄県尖閣諸島からわずか150kmしか離れていない沖縄県与那国島にレーダー基地を想定した「沿岸監視部隊」基地の起工式が行われたことを受けている。

「中日関係のしこりはなに1つ取り除かれていない。(中略)中日関係は単なる『冷たい平和』なのか?どうすれば正常な軌道に乗ることができるのだろうか?」論文は日本側の非ばかりをあげつらって、中国側の頑なな姿勢にはまったく触れていない。

 例えば、中国海警局が尖閣諸島から300kmほどの浙江省温州市に排水量1万t級の大型船など最大6隻が停泊できる基地の建設を計画していることが明らかになった。

 飛行機やヘリの格納庫も建設するという。昨年11月と今年4月に日中首脳会談が行われ、ようやく日中関係に緩和の兆しが見えたところでの基地建設で、中国は言っていることと、やっていることは大きく食い違う。「冷たい平和」は中国側の自作自演と言わざるを得ない。

「冷たい平和」は米中関係にも及んでいる。5月1日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「米中の行く手に待ち受ける『冷たい平和』台頭する中国」の見出しで、中国が南シナ海の岩礁を埋め立てて、軍事基地を建設しようとしていることに米国が強く反発し、米中が「冷たい平和」の関係に突入していると説く。

関連キーワード

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン