●「体育会系」学生が企業にモテなくなった?
就職・採用の世界で体育会系が有利とされた“体育会系神話”が崩れつつある。そもそもなぜ体育会系なのか。金融業の人事担当者は、
「体育会系は上級生の命令は絶対。たとえ命令が間違っていても耐えながら従うしかない。その世界を生き抜いてきた学生は不条理だらけの会社人としての耐性を備えている」
と語る。しかし、そんな体育会系も魅力が薄れていると語るのは運輸業の人事担当者である。
「私は下級生、上級生に関係なく皆の合議で民主的に運営し、楽しくやりましたという学生もいる。そんなことを期待しているんじゃないんだけどなと思う」
しかも最近は新人の業務量が多く、うつになる体育会出身者もいるという。上の言うことを全部飲み込んでしまい、仕事が辛くても誰にも相談できないまま突然倒れてしまうそうだ。
●役員報酬が聖域扱いされる理由
ソフトバンクが外国人役員に入社一時金含めて165億円余りの役員報酬を支払ったことが話題になった。どうしてこんな金額になるのか誰もが不思議に思うが、日本企業の役員報酬は“伏魔殿”と呼ばれるほどベールに包まれている。
じつは外資系企業の役員の年間報酬額のうち会社や個人の業績連動部分が8割を占めているのに日本企業は3割弱という調査もある。
日本企業の役員の報酬は年功的な固定給が7割以上を占めている。ところが社員はご存知のように成果主義導入で年功部分がどんどんなくなり、業績給主体になっている。
これはおかしいと思い、役員も業績連動を増やすように提案したサービス業の人事部長は「固定報酬が下がるのは嫌だと言う役員が多く却下された。役員だけは別格というのは不自然」と憤る。
●「給料もらい過ぎ」で狙い打ちされる40代社員
業績が悪化すれば社員の給与は激減するが、固定報酬率の高い役員の懐はそれほど痛まない。役員だけ太り、社員が細る中で、今、狙い打ちにされているのが40代後半以降の中高年社員だ。
日本生産性本部が企業の人事担当者を対象にした調査(2014年3月)では、仕事と給与が見合っていない社員の割合は平均で約20%。つまり、仕事の割に給与をもらいすぎている社員だ。年齢層は「50歳代」が約51%と最も多く、続いて「40歳代」が約27%だった。
これはリストラのターゲット層とピタリと符合する。企業の希望退職者の募集要件で多いのが40~45歳以上だ。しかもこの層は大手企業の中でも人数が多いボリュームゾーンだ。少しでも業績が悪化すれば真っ先に狙われることになる。