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「中国軍は1週間で全滅」 元陸将発言は中国が一部をカット

“捏造”とまではいわないが、中国メディアの「ご都合主義」には驚かされる。

 7月22日、福山隆・元陸将が海自上層部から聞いた話として「弾道ミサイルなどを考慮しなければ1週間で中国海軍を全滅させられる」と語ったと中国のテレビ局「広東衛視」が伝えた。中国のポータルサイトにも掲載されたほか、日本語にも訳されネットニュースとして配信。中国メディアの報道によれば、福山氏は日本が勝つ理由として自衛隊のほうが練度が高いことを挙げていたという。

 この記事を見た中国ネットユーザーからは「なら中国は日本列島を1時間以内に沈めてやる!」、「アメリカの助力がなければたいしたことないくせに」といった反発のコメントが相次いだ。

 間もなくやってくる70年目の終戦の日に向け、安倍首相が出す談話が注目を集めるこの時期に、なぜそんな発言をしたのか。福山氏に真意を問うと意外な事実がわかった。

「たしかに香港紙『明報』の取材を受けてそのような発言はしました。でも昨年8月下旬のことで、11月上旬に一度記事になっている。なぜ今ごろになって、しかも別の媒体が報じたのか私にもわかりません」

 今になっての“挑発報道”に当惑しているという。

「『中国国民の間では日中戦争が不可避だという認識が高まっている』とか、『中国が新造した空母の遼寧を脅威だとは思わないか』といった質問をしてきた。内容がかなり挑戦的だったので、受けて立とうと思い、こちらもやりかえすような回答をした。『実際にはやってみないとわからない』と前置きしましたが、そこは切り取られたようですね」

 なぜいまさら、昨年のインタビューを引っ張り出してきたのか。

「中国政府は“勝利記念日”の9月3日までは、メディアを総動員して日本叩きに終始する。共産党への求心力を高めるためです。その材料として福山氏の発言を引用して反日感情を煽っているのだと考えられます」(中国に詳しいジャーナリストの中田秀太郎氏)

 情報統制されている中国では、発言が古いニュースだということもわからないのかもしれない。

※週刊ポスト2015年8月14日号

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