7月15日に行われた発表会は、世界に向けてネット中継されました。今回の作品は主人公の少年たちの絆や挫折、成長など人間ドラマに焦点を絞り、少年たちの物語としての魅力と、それに伴って変化を遂げていく「ガンダム」の姿を描くとのこと。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などで知られる監督の長井龍雪氏を始め、新進気鋭の豪華スタッフが作品を作り上げます。MBS・TBS系列全国28局ネットで10月4日(日)17:00より放送開始です。
この設定、さらには告知映像を見て、まさに新時代のガンダムだと確信した次第です。そして、ガンダムシリーズは作品の位置づけが見事に整理されたように思います。ガンダムシリーズは、最初の作品である『機動戦士ガンダム』と同じ宇宙世紀の設定でなんらかのつながりがあるものと、そうではないものに、大きく二つに分けられると思います。
ただ、後者のつながりのないものに関しても、旧来のガンダムファンの期待に応え、取り込むために、あるいは新しいファンにガンダムの世界観を伝えるために、過去作品のシーンやセリフなどのオマージュ的な要素を盛り込む、声優やナレーターに過去作品で登場した方を起用するなどの取り組みを行ってきました。また、いかにもプラモデルなどのグッズを「売らんかな」という姿勢が感じられる作品があったことも否めません。諸々、事情があるのでこれらのことを悪いとは言い切れません。一方で、マンネリ感、中途半端感がある作品が存在したのも事実ではないかと。
ここ数年では、このあたりが上手く整理され、現在、イベント上映、ネット配信、Blu-ray&DVDなどで公開されている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や、昨年、映像版が完結した『機動戦士ガンダムUC』のように、最初の作品である『機動戦士ガンダム』に関連する続編、外伝的な作品、最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のような新しいチャレンジをする作品、さらには明らかにより低年齢層にふった作品で分けて展開することにより、住み分けを行うとともに、ターゲットを明確化していると感じられます。
私が『僕たちはガンダムのジムである』で論じたように、これまでの『機動戦士ガンダム』シリーズというのは、新卒一括採用でなんとなく入った企業で、様々な経験を積みつつ、理不尽な想いもしつつ、組織に居場所を求めていく物語だと捉えています。ただ、世界観が昭和だなとも感じます。
今回の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、社会や企業の中で居場所を探すことの出来ない中、個人の絆に着目している点が2015年っぽいと思っていますし、今の10~20代の共感を呼ぶのではないかと思っています。
やや長くなってしまいましたが、『機動戦士ガンダム』を通じて、昭和~平成の変化を味わうことができるイベントとなっておりますので、ぜひガンダム展に行ってみてください。そして、新作も応援しましょう。