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「寿退社」は失業手当出るが「自己都合退社」は出ない不条理

 世の中には《公的差別》が存在するが、これらは多くの場合、差別を受ける当事者が気付かないような「制度の隙間」に隠されている。

 職場の同僚、学校の同級生、マンションのお隣さんなど、置かれた立場や生まれた年、生活環境が自分とほとんど変わらないと思っていた相手が、なぜか国から手厚い社会保障サービスを受けている。あるいは社会的地位が高く、収入にも恵まれた人がなぜか自分よりずっと軽い税率の恩恵を受けていた。

 そんなすんなりと納得できない不条理な制度が《公的差別》だ。

 その一例を紹介すると、同じ職場に同じ期間勤めていても、「寿退社」なら失業手当がもらえるが、「自己都合退社」だともらえない。

 雇用保険制度では失業手当を受給するには原則「1年以上」の勤続(雇用保険加入)期間が必要だ。しかし、たとえ勤続1年未満でも、結婚で夫の勤務地に転居する場合は「特定理由離職者」として最長90日間、失業手当を受給できる。だが、例えば離婚して実家に帰るために会社を辞めると失業手当の受給資格はない。表向きの理由はこうだ。

「結婚や夫の転勤に伴う転居で通勤困難になった場合、退職する正当な理由があるとみなされます。しかし、親と一緒に暮らすために働いている会社を退職して、引っ越すことになっても“実家に戻るのはあなたの都合でしょう”と勤続1年以上の受給条件が厳格に適用されます」(社会保険労務士)

 リストラなど会社都合退職か、自己都合退職かによっても受給できる期間や条件が違う。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

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