一歩引いた姿勢から変わって元気を前面に押し出してプレーするうちに、監督やチームメイトから「お前、変わったな」と言われるようになった。
「そう言われて、自分がやったことが間違っていないと思えるようになりました」
15日の東海大甲府戦、清宮が今大会で初めてホームランを打つと、続く加藤もライトスタンドに打ち込んだ。清宮・加藤のKK砲そろい踏みの「アベック弾」は公式戦、練習試合も通じて初めてという。
「清宮が打った余韻がまだ球場に残っていたので、その余韻を自分への期待だと考えて打席に入りました。打ったのはインコースのストレート、これ以上ない甘い球が来たので思い切り引っ張りました」
6回にピンチを迎えた場面では、マスク越しに三塁側ベンチの和泉監督と身振り手振りで「会話」をしているシーンがあった。
「和泉さんが『(投手を)代えるか?』と聞いてこられたので、『まだいけます』と返事していたんです。ランナーがいる状態でリリーフに出るのはキツイので、あそこは松本のエースとしての意地に賭けました」
「私もキャッチャー出身なので、現場で捕ってる奴が投手をいちばんわかっていることを知っています。加藤を信頼しているのでいつも意見を参考にしているんですよ」(和泉監督)
清宮がホームランを打ってダイヤモンドを一周してベンチに戻るとき、加藤は打席の前でバットを自分に立てかけて、清宮の背中に向かってホッとしたような、優しい笑顔を浮かべて拍手を送っていた。
清宮選手は良いチームに入ったな、と思うのは私だけではないだろう。