ライフ

フランス書院文庫最大のベストセラーは30万部超 草食系も台頭

 いかにも淫靡な雰囲気を漂わせる社名で日本の官能小説をリードしたフランス書院文庫は1985年4月に創刊され、今日までに2000点を超える作品を世に送り出してきた。フランス書院文庫編集長代行のT氏は語る。

「当社の創業はフランス書院文庫発刊10年前の1975年です。まず翻訳官能小説『女教師』が大ヒットし、エロティックな路線が定まりました」

 以来、世界的官能小説家、トー・クン作の『義母』や『姉』も発刊され増刷を繰り返す。

「社名をフランスとしたのはイメージ優先。オシャレでエスプリのきいた艶笑小説や、創業当時に話題になっていたフランス映画『エマニエル夫人』(1974年公開)の影響だったと思います」

 フランス書院はやがて翻訳から日本人作家の官能小説へとシフト。文庫創刊にあたって、新人作家を発掘しオリジナル書き下ろし作品で勝負することになった。

「文庫第1作は鬼頭龍一氏の『叔母・二十五歳』。これがヒットし、毎月4冊ペースの文庫刊行が軌道に乗りました」(T氏)

 フランス書院文庫最大のベストセラーは1985年8月発刊、綺羅光の『女教師・二十三歳』。何と実売部数は30万部を超えた。同作は美貌と気品を兼ね備えた23歳の女教師が、暴力団員に電車内で痴漢されたことがきっかけで拉致され、性の地獄へ堕ちていくというストーリー。T氏が近年の潮流を語る。

「かつては陵辱と誘惑が二本柱でしたが、最近はバイオレンス色の濃い作品にも新しい波が生まれています」

 台頭してきたのが、「甘えん坊陵辱系」。

「内向的で繊細な主人公が、憧れの女性への想いを持て余し、『なんで僕の気持ちを分かってくれないんだ!』と暴走し、陵辱に走るというもの。相手女性も『乱暴はするけれど、本当は寂しいのね』と妙な按配で理解してくれるシチュエーションが受けています」

 官能小説にも男子の草食化の波が押し寄せている。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

関連キーワード

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン