スポーツ

初優勝から2勝目まで7年 原江里菜プロを支える「エリナ党」

原江里菜プロと彼女を応援する「エリナ党」の面々

「ひとりでこの場に立つことはできませんでした……支えてくれた皆さんに感謝したいです」──8月2日、「大東建託・いい部屋ネットレディス」で約7年ぶりに優勝した原江里菜プロ(27)は、スピーチで思わず声を詰まらせた。

 東北福祉大在学中の2007年にプロに転向し、いきなりシード権を獲得すると、翌年の「NEC軽井沢72」でツアー初優勝を飾った。ところが、突如スランプに陥り、2010年にはシード権を失う。10試合連続予選落ちというどん底も経験する中、2011年夏に森守洋コーチとスイング改造に着手。2012年から再びシード権を得て、昨年は未勝利ながら賞金ランク9位に食い込んだ。

 初優勝から2勝目までの6年350日は、ツアー史上4番目に長いブランクだった。豊富な優勝経験を持つベテランキャディの保科隆氏に助けられ、通算50勝の不動裕理プロからはメンタル面のアドバイスをもらった。そして、そんな「支えてくれた皆さん」の中で、彼女にとって大きな存在となっているのが「エリナ党」である。

「エリナ党」とは、原プロの出場全試合にメンバーが訪れ、プレー内容を細かく記録し、ブログにアップしているグループだ。ショットの「飛距離」「方向性」「球筋」から、「2打目の残り距離」「ライの状態」「パットのラインやカップまでの距離」まで、データは仔細を極める。中心メンバーの小林剛さんが語る。

「2007年11月の原プロの誕生日からブログに書き始めて、初優勝の試合から細かい分析をしています。格安チケットとビジネスホテルを利用して大会コースに行きますが、都合がつかない時は他のメンバーがサポートしてくれます」

 8月21日から開催された「CATレディース」にも、原プロが契約するプロギアのキャップを被った6人の「エリナ党」の姿が。早朝のクラブハウス前で原プロに「おはようございます」と挨拶をすませるとコースに向かった。古くからの「党員」である有原嗣夫さんとともに、小林さんも原プロのラウンドをチェックに向かった。

「会員証や名簿、規則など、何もありません。一度も話したことのない人もいますが20~30人くらいがメンバーです」(有原さん)

 小林さんや有原さんのようにボールの落下地点に先回りしてショットを細かくメモするメンバーもいれば、原プロの近くから「ナイスショット!」「ナイスバーディ!」と声をかけるメンバーなど応援の方法はそれぞれ。

取材・文■鵜飼克郎 撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2015年9月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン