国内

下流老人 娘が離婚し子連れで実家に戻った場合はさらに大変

「老後破産」は長寿社会の深刻な社会問題となりつつある。8月30日放送のNHKスペシャル『老人漂流社会 親子共倒れを防げ』は80歳の父と、リストラされた45歳の息子が生活に窮する厳しい現実をレポートして反響を呼んだ。

 息子の失業だけでなく、“結婚しない娘”も親にとって大きな負担となる。30~34歳女性の未婚率は2010年時点で34.5%。しかもこの数字は今後さらに上昇する可能性が高い。
 
『Nスペ』にも、老夫婦と37歳の失業中の息子、36歳独身の娘が同居する4人家族が登場した。子供たちはアルバイトしかできないため、父親は69歳になっても働き続けている。本人は70歳を過ぎても働き続けるしかないと思っているが、もし働けなくなったら家族はどうなるのか。父親は「希望なんてない」と暗い表情でつぶやいた。
 
 娘が離婚し、子連れで実家に戻ってきた場合は、さらに大変だ。社会学者で放送大学副学長の宮本みち子氏がいう。
 
「年老いた親が娘だけでなく孫の生活まで見なければならなくなり、3世代が共倒れしてしまうケースもあります。高度経済成長期には、親の役割はある時期で終わるとされていました。ところが今はそれが成り立たない。やがて親が介護が必要な年齢になると、状況はますます困難になってしまいます」
 
 こんな事例がある。嫁いだ娘が夫のDVに耐えかねて、12歳の孫を連れて実家に戻ってきたのは2年前のこと。娘は軽いうつ状態で働きに出ることができず、家族4人の収入は72歳になる夫婦の国民年金、月13万円のみ。それでは育ち盛りの孫まで養うことは不可能で、なけなしの貯金を取り崩しながらの生活が続いた。
 
 幸い、娘の体調が上向いてスーパーでパートができるようになり、夫と離婚が成立して養育費が入るようになったため、どん底の生活からようやく脱出することができた。だが、この安定がいつまで続くのか、一家は不安にかられ続けている。

※週刊ポスト2015年9月18日号

関連キーワード

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン