マッキンゼーの例を挙げると、自分が会社で働いている時間の15%を社会貢献に割り振ることができるシステムになっていた。具体的には、無料のボランティアで地元のバレエ団のコンサルティングをしたり、病院のコンサルティングをしたりといった具合である。そういうコミュニティ活動に使った時間が、休みではなく出勤した時間として認められるのだ。
マッキンゼーの社員は頭脳集団だから、その能力を所属するコミュニティで有効活用することによって企業イメージを高めることができるし、社員の人脈づくりやスキルの向上にも役立つわけだ。ファーストリテイリングも優秀な社員が多いのだから、単に休みを1日増やすのではなく、マッキンゼーのような仕組みを作って、社員の社会貢献を促すのも一手だと思う。
あるいは、3日の休みのうちの1日は、自己啓発や自己研鑽のために図書館に行って勉強したり、ライバル企業や他業種の店舗を視察したりして顧客動向に関する観察レポートを書くなど、自分の仕事やアパレル業界に対する知識と理解を深めるために使うようにしたほうが、社員のためにも会社のためにもなると思う。
ただし、最大のポイントは、あくまでも新しい勤務形態が顧客のためになるかどうか、である。リクルートやファーストリテイリングなどの有名企業がこうした新しい勤務形態を導入するのはよいことだが、中途半端で終わっては元も子もない。両社の取り組みが「日本人の働き方」を本質的に見直す起爆剤となることを期待したい。
※週刊ポスト2015年10月9日号