国際情報

中国人民解放軍30万人削減 軍内部で習近平氏への不満高まる

 中国の習近平国家主席兼中央軍事委員会主席が、9月3日の軍事パレードに先立つ抗日戦争勝利と反ファシスト戦争勝利70周年の記念式典で、中国人民解放軍の30万人削減を発表したことについて、軍内では将校を中心に不満が高まっていることが分かった。削減されるのが非軍事部門のほか、高位の将校クラスが主で、特に将校の場合、年齢が高いことから再就職が難しいためだ。ロイター通信が報じた。

 習氏は記念式典で、「中華民族は一貫して平和を愛しており、発展がどこまで至ろうとも、中国は永遠に覇権を唱えないし、永遠に領土を拡張しない。中国は今後、軍隊の人員を30万人削減する」と宣言した。

 しかし、30万人削減については、事前に軍の将校らには伝えられておらず、突然の発表だったために、テレビの生放送を見ていた地方軍区の将校らは顔色を変え、パレード終了後、地方軍区の幹部らは司令官らに食って掛かり、不満を口にしたという。

 今回の軍削減について、軍機関紙「解放軍報」は「非戦闘部分などを削減して、戦闘力を高めることで、中国の軍事力を増強させて、他の国から攻撃を受けないようにする」としているが、元陸軍少将の徐光裕・中国軍制御削減協会理事は同紙に対して、削減の主な対象は陸軍で、旧式の歩兵部隊が中心であり、現在の地方の7大軍区のうち2大軍区を整理すれば17万人が削減され、残った18個師団のうち3個師団約3万人を整理するというもの。

 さらに、これに加えて医療、通信、文化宣言工作団など非戦闘部隊計10万人を加えて、30万人の削減を実現しようというものだ。新華社電によると、30万人の人件費だけで年間600億元(約1兆2000億円)節約できるが、これを振り分ければ、兵器・装備の一層のハイテク化が可能となると報じている。つまり、今回の削減はていのよい将兵のリストラというわけだ。

 中国では1978年末の改革・開放路線導入以来、1985年のトウ小平氏の100万人、1997年には江沢民氏の50万人、2003年の胡錦濤氏による20万の計3回実施されたが、削減とは名ばかりで、国防費は年々二ケタ成長を続け、兵器もハイテク化が進んできた。

 北京の外交筋は「非戦闘部門のスタッフの場合、一芸がある分、再就職は比較的容易だが、高齢の陸軍将校や兵士は切り捨てられる運命にあるだけに、軍内ではクーデターが起こりかねない状況だとの情報もある」と指摘する。

関連キーワード

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン