国内

金田一秀穂氏 「戦争法案」は「女子会」同様気分盛り上げ言葉

 近年、嫌~な日本語がやたらと使われている。日本語学者で杏林大学外国語学部教授の金田一秀穂氏は、そのひとつとして「戦争法案」を挙げる。いったいなぜなのか。

 * * *
『論語』にこんな一節があります。ある時お弟子さんが「先生が政治をやられるとしたら何をなさいますか」と孔子に訊ねる。すると孔子は「まず名を正そう(必也正名乎)」と答えるのです。「名」は「言葉づかい」と訳しても差し支えないでしょう。政治は言葉で動くのだから、まずその使い方を厳密にしておかなければならない、と言うのですね。

 ことほど左様に言葉は大事なのですが、今の政治家にその意識はあるのでしょうか。

 例えば安保法案をめぐってしばしば使われた「国民の理解」(を得る/得られない)という言葉。総理をはじめこの言葉を使う時には必ず「理解=賛成」という願望がこめられています。「理解しているから反対するんだ」という人だっているのに、「反対するのは理解していないからだ」と言わんばかりです。

 こうなると反対意見に耳を傾けたり、法案の正否を改めて点検したりはできませんね。つまり議論を放棄しているのです。

 では反対する野党はどうかと言いますと、こちらはこちらでやっぱりお粗末。彼らは安保法案を「戦争法案」と呼び、その上で反対する。

 そう呼んだからと言って法案の中身が変わることはありません。一方で、この言いかえによって本質が歪められてしまう大事な言葉がある。「戦争」です。これは非常に重たい言葉で、そう軽々しくは使えないし、使う時は具体的な思考の立脚点として、慎重に扱わねばなりません。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン