国内

創価学会 会員の安保反対デモ止めた背景に後継者を巡る動揺

 安保法制への国民の反対運動は、いまや「自民党最大・最強の集票マシン」と呼ばれる創価学会内部に大きな亀裂を生んだ。

 デモが全国に広がり始めた頃から、池田大作・名誉会長が定めた「勝利」(赤)「栄光」(黄)「平和」(青)を意味する創価学会の三色旗をバックに、〈戦争法案即時廃案〉〈バイバイ公明党〉──などと書いたプラカードを掲げる創価学会員が参加するようになったからだ。

 公明党は「平和の党」だと教えられてきた学会員たちが、安保法制に反対するのは自然なことだろう。ところが、法案審議の半ばから、学会員のデモ参加者が増えなくなった。学会上層部からこんな指示が出たというのだ。

「最初は何もいわれなかったのに、途中から『デモには行くな』『ろくなコトにはならんぞ』と締め付けが厳しくなった」(デモに参加した学会員)

 公明党議員の「安保法案は憲法違反ではない」という説明を聞く集会も開かれるようになった。

 創価学会が会員の“戦争法案反対デモ”への参加を止めたのはなぜか。背景には、ポスト池田の後継者選びに絡む組織の動揺があると見られている。

 創価学会の原田稔・会長(74)は来年任期(5年。現在2期目)を迎える。前任の秋谷栄之助・元会長は75歳で会長を退いており、年齢的にも原田氏は交代という見方が強い。そうなると次期会長の有力候補は谷川佳樹・事務総長と正木正明・理事長の2人と目されている。創価学会に詳しいジャーナリスト・乙骨正生氏が語る。

「谷川氏は原田会長と同じ東大出身で組織運営に長け、自民党寄りで知られるホープ。対する正木氏は学会主流派の創価大出身で自民党とは距離がある。次期会長には原田会長が推している谷川氏が本命視されているが、正木氏は池田大作氏の長男・博正氏(副理事長)の世話役を務めて池田ファミリーに近く、逆転の可能性もまだ消えていない」

 実際、自民党の下野が確実視されていた福田内閣当時、正木氏は聖教新聞(2007年10月4日付)の座談会で「さんざん応援してもらいながら大恩ある支持者を裏切る。逆恨みする。悪党と結託して牙を剥く。そういう恩知らずどもとは徹底的に戦おう」と、選挙協力をした自民党への批判とも受け取れる発言をしているし、2009年に自民党が野党に転落すると次期会長レースで“本命”の谷川氏を逆転したという情報も流れた。

 池田氏が元気であれば、次期会長は指名で決まると思われる。しかし、池田氏は聖教新聞でたまに動静が報じられるものの、「学会組織内で2人が次期会長を競うという権力争いが起きているということは、これまでグリップを効かせてきた池田氏の力がはたらいていないということでしょう」(同前)とみられている。

※週刊ポスト2015年10月16・23日号

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン