ただ、旅行券や企業の「○周年の記念品」など使途が限られる“現物支給”については非課税になる場合もあるが、それでも厳しい条件が定められている。
「永年勤続表彰では10年以上勤務し、2回以上表彰を受ける人は5年以上間隔をあけることなどが税法で明記されています。
また、旅行券など換金性のある現物については、支給後1年以内に使うことや、会社に旅行先・旅行会社の支払額等を報告することが求められています」(前出・落合氏)
そもそも、いくら非課税だとしても、旅行しない人が旅行券をもらったり、ボールペンや置時計など趣味の合わない記念品を贈られたりして、誰が喜ぶというのか。
もう少しサラリーマンにも仕事のモチベーションが上がる“報奨税制”にしてもいいと思うのだが、そうもいかないらしい。
「確かに現在の所得税法は杓子定規ですが、あらゆる会社の賞金制度で非課税を認めてしまうと、それを抜け穴に給料のほとんどを報奨金扱いにしてしまう会社が続出して、かえって不公平になってしまうのです。
一般のサラリーマンは、“金一封”で課税された分、交際費など経費を多めに使わせてもらうなどして恩恵を受けるしかありません」(落合氏)
折しも、政府の税制調査会は、所得税の控除制度見直しを含めた議論に入ったばかり。税率を上げるばかりで働けど働けど報われない国から、今後もノーベル賞受賞者が続出するとは限らない。