10月6~7日に行なわれた日銀の金融政策決定会合で第3次金融緩和(黒田バズーカ第3弾)が見送られたため、次回の会合が開かれる10月30日にも「黒田バズーカ第3弾」の実施を予想する声が市場で出ている。
日銀ウォッチャーである証券各社のエコノミストの6割が「実施派」である一方、4割が「見送り派」である。カブ知恵代表の藤井英敏氏は「緩和は見送られるのではないか」と見る。
「黒田バズーカ第3弾が打たれるとしたら、その直前(10月27~28日)のFOMC(連邦公開市場委員会)で米国が利上げに動いた場合だが、その可能性は低いでしょう。新興国の先行き不透明感などからドル高となっている現状では、円安誘導になってドル高を助長するような追加緩和を日銀が打てるとは考えにくい。
昨年の黒田バズーカ第2弾も米国がQE3(量的金融緩和第3弾)終了を宣言した後にセットで打たれている。追加緩和は米国の利上げ次第と見ています」
ただし、緩和が見送られたとしても「別の祭り」があると語るのは信州大学経済学部の真壁昭夫教授だ。
「追加緩和よりも注目すべきは補正予算です。TPP(環太平洋経済連携協定)が大筋合意したことで、その対策として補正予算を組みやすい土壌ができたうえ、11月に発表される7~9月期のGDP(国内総生産)はマイナス成長が確実視される。
そうなると政府が直接支出する『真水』で4兆~5兆円規模の財政出動が必要になる。私の知る自民党幹部なども『(補正を)やります』と明言するほど可能性は高まっています。今後の日本株の動向を見るうえでは、金融緩和よりも財政出動のタイミングを見た方がいいでしょう」