アジア、ロシア、中近東など各国向けの商品見本が並ぶ


 5枚刃ラムダッシュの大きな特徴は、外刃と内刃に島根県安来市で作られたステンレス刃物鋼「安来鋼」を使用している点だ。彦根工場では、この安来鋼を日本刀と同じ製法で鍛え抜いたうえで、精巧に作られた金型を使ってプレス加工をしていく。ここでもっとも重要なのが金型の製造だ。

 金型は、1ミクロン(1/1000mm)の差を正確に削り取る技術が必要で、彦根工場では20年以上の訓練を積んだ職人が担当。1つの金型を作るのに3か月ほどかかるという。

 そして、プレス加工された外刃は、専門の技術者=「匠」によって品質のチェックが行われる。「匠」は、1分間に100枚のペースで流れてくる外刃を、肉眼と手袋をはめた手で触りながら異常がないかをチェック。さらに、1枚あたり約1300個も開いている小さな穴を目視で確認するのだ。これこそが「匠」だからこそなせる技である。

 外刃に蛍光灯の光を当て、反射する光の歪みを瞬時に判別していくのだが、そのスピードと正確さは圧巻。あまりにもその技術が高度すぎて、なかなか後継者が育たないという悩みも抱えているとのこと。しかしながら、それだけ品質に妥協がないという証拠だといえる。

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