国内

ダルビッシュ翔容疑者 兄を助けたり泣いて詫びた「深い絆」

 野球賭博の開帳図利(とり)と常習賭博の容疑で10月26日、人材派遣業を営むダルビッシュ翔容疑者(26)が大阪府警に逮捕された。同容疑者は、大リーグのテキサス・レンジャーズに所属するダルビッシュ有投手(29)の弟である。

 野球賭博という愚行は、現役の大リーガーである兄に影響を及ぼすことは避けられない。実は本誌記者は2012年夏、翔容疑者にロングインタビューを行なっていた。当時、この取材は誌面化しなかったが、翔容疑者は殊勝な態度で質問に答え、兄との「深い絆」を語っていた。少年時代の回想。

「俺ら兄弟はハーフということもあって、幼い頃からいじめられた。俺は腕力で相手を黙らせてきたけど、おとなしい性格の兄は違った。手足の長い兄は、その頃大流行していたテレビゲーム『ストリートファイターII』のキャラクターのダルシムに似ているといわれ、近づくと『ダルシム菌がつくぞ~』とからかわれた。

 鬼ごっこでは、いつも鬼。周りが途中で家に帰って放置された兄が、日が落ちるまで1人で鬼を続けとったこともあった。そんな兄をいじめるヤツらを俺がぶっ飛ばして、兄を助けたりもしたんや」

 だが、兄弟の立場は逆転する。野球の才能を見出された有は宮城の東北高校にスカウトされ、甲子園のスターとなった。

 一方、中学でサッカー部に入った翔容疑者は、有望選手と見られた時期もあったが、やがて挫折してしまう。高校進学を諦めて夜遊びを繰り返し、幾度も警察の厄介となる。インタビューで本誌記者が「兄との境遇の違いがそうさせたのか?」と訊くと、ムッとした表情でこう答えた。

「少年院や鑑別所でも同じこと言われたわ。『お前が不良になったのは偉大な兄貴と比べられて拗ねたからや』ってな。それは違う。俺は楽しいからそうしてるだけや。兄は関係ない」

 しかし「兄は自分のことを気に懸けていた」とも明かしていた。「19歳の時(2007年)に事件を起こして騒ぎになった頃のことや。プロとして大活躍していた兄と2人きりになった時、兄は『俺が野球やめたらいいんか?』と涙目で呟いたんや」

 兄が有名選手であるがゆえに、弟の行為が大きく取り沙汰されている──有はそう考えたのだろうか。それに対して翔容疑者は感情を露わにしたという。「俺は『そんなこと言わんといてくれよ!』と、初めて兄の前で泣いて詫びたんや」

 そう本誌取材に話していた翔容疑者の表情は真剣そのもので、その口調からは兄を誇りに思い、信頼する心情が痛いほど伝わってきた。

※週刊ポスト2015年11月13日号

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン