芸能

稲垣潤一 『クリスマスキャロルの頃には』誕生の裏話を語る

デビューの頃を描く自伝的小説を上梓した稲垣潤一

 発売から23年。これからの季節、いったいどれくらい耳にするだろう、『クリスマスキャロルの頃には』。

 その歌手、稲垣潤一さんが自身のデビュー前後の「ハコバン」(後述)生活を描いた書籍『かだっぱり』を上梓。寡黙、真面目。彼を語る資料にはこれらの言葉が多く登場する。しかも発売されたばかりの著書は『かだっぱり』。宮城の方言で、「がんこ」「意地っ張り」という意味だそうだが、ということはインタビュアー泣かせということか?(取材・文/活動屋映子)

「よろしくお願いします」

――あれ? 歌の声と違いますね。

「よく言われます(笑い)」

 と、微笑がこぼれる。ホッ。そう、話し声は低めで穏やかな印象だ。

――すごく意地っ張りなんですか?と、これまた無謀にも聞いてみると、

「メジャーデビューする前、10年間も“ハコバン”をやっていたわけですから、やっぱり自分はかだっぱりなんだと思いますね」

 と、さらに笑みが。音楽に関してはかだっぱりだけど、それ以外はそうでもないのかもしれない。そう思ってると、彼がおもむろに話し始めた。

「音楽ばかだったんですね。ディスコ、キャバレー、ダンスホール、ビアガーデン、業態もいろいろなら、潰れた店もギャラももらえない店もありました。けど、やめようとは思わなくて、そういうお店でずっとぼくはハコバンをやっていたんです」

 ハコバン。聞きなれない言葉だが、彼があげたような店(ハコ)で、ライブ演奏をしているバンドのことをいう。1970~1990年代にかけて、さまざまなバンドがハコバンとして活動していた。彼の著書『かだっぱり』には、バンド仲間との交流や1970年代からのヒット曲が網羅されている。ギャラももらえず、うらぶれた思いに沈む下積み時代の様子も赤裸々に。

――ご著書によると、このハコバン時代、「負け犬」呼ばわりされていたとか?

「はい。“負け犬じゃん”と言われたり、“いつまでこんなとこで歌っているんだ”と言われたこともあります。決して平然として聞き流せたわけじゃないけど。(そう言って少し間を置き…)人が何をしようが、大きなお世話ですよね。ぼくは好きな音楽ができるんなら、一生ハコバンでもいいと思っていたから(と、きっぱり)。ただ、いつかはバンドとしてプロデビューしたいという希望も持っていたんです」

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン