国内

仏テロ追悼FBでのトリコロール騒動 「やれやれ」な光景に

 パリで起きたテロ事件を受けて、フェイスブックに追悼の意味でアイコンをフランス国旗のトリコロールを被せる機能が実装された。しかしそれを巡って、ネットでは「ひと悶着」あった。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が一連の流れから「教訓」を引き出す。

 * * *
 あらためて、平和について平和に語る難しさを目の当たりにしました。平和な国に暮らしていても、いや、平和な国に暮らしているから余計にそうなんでしょうか、一部の人は、常に「ケンカを吹っかける対象」を探さずにはいられないようです。

 先週末にフェイスブック上で繰り広げられた大人げない光景にウンザリして、15日の夜にこう呟いたところ、とても大きな反響をいただきました。

〈どうかケンカしないでください。プロフをトルコロールにしてもしなくても、どっちでもいいじゃないですか。平和を願う気持ちは同じはずなのに、ケチをつけたり、ケチをつけられてムキ―ッとなって反撃したり。まずは目の前の人と、差異を認めつつ仲良くしましょう。世界平和のためにも。〉

 読み返すと気恥ずかしい限りですが、この写真も付けていない短い投稿が、いつもの3倍ぐらいの「いいね!」と10倍ぐらいのコメントをいただき、30人ぐらいがシェアしてくださいました。なぜこんなことを呟いたのか、順を追ってご説明します。

 11月13日に、パリでとても悲惨な出来事が起きてしまいました。犠牲になった方々には心から哀悼の意を捧げるとともに、事件を起こした側、起こさせた側に激しい憤りを感じます。それは言うまでもないことだし、誰しも同じ気持ちだと思います。

 しかし、事件が起きた直後、フェイスブックに実装されたある機能きをきっかけに、ややこしい対立の構図ができてしまいました。「ある機能」とは、プロフィール写真にフランス国旗と同じ青、白、赤のトリコロールをかぶせることができるというもの。犠牲者を悼み、パリ市民の安全と平和を願う意味が込められているとのこと。私のフェイスブックのニュースフィードにも、たくさんのトリコロールが並びました。

 大いにけっこうなことだと思います。しかし、トリコロール機能が爆発的に広がるや否や、おもにネット上のあちこちから異を唱える声が上がり始めます。理由や理屈はさまざまで、なるほどそれはそうだとうなづけるものもありました。ただ、要するに「単純に乗せられているお前らはバカだけど、こんなに流行っていてもトリコロールにしない俺は知性も意識も高い」と言いたいだけの人も多かったように見受けられます。

 トリコロールにしている側としても、自分なりの方法で悲しみや哀悼の意を表現しているだけなのに、ケチをつけられたら面白くありません。売り言葉に買い言葉で、異を唱える側に激しい言葉を投げつけている光景がちらほら見られました。また、ケチをつけられる云々とは別の話として、トリコロールをしていない人が、している人に「なぜしないんだ!」と詰め寄られるケースもあったそうです。「やれやれ」です。

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン