絵心のあるサラリーマンのB氏は趣味が高じ、イラストレーターの副業で年間100万円の収入を得ているという。

「画材などの費用や家賃・光熱費といった経費が180万ほどかかり、約80万円の赤字です。本業の年収は約500万円ですが、副業の赤字を申告することで、税金は約40万円のところ24万円まで圧縮できています。

 しかも画材は、イラストの仕事をしていなくてもどうせ趣味で買っていたもの。税金が減って手取りが数十万円近く増えたことで十分得をしています」(B氏)

 ほかにも、店舗に来店して接客態度などを覆面調査するミステリーショッパー、デザインやネーミングなど報酬の出るコンテストへの参加など、趣味と実益を兼ねた副業が人気だ。

 節税できているとはいえ、副業が赤字を出しているというA氏、B氏の例に矛盾を感じるかもしれない。しかし、多くの「副業節税サラリーマン」は家賃や商品の運搬に使う車など、本業のみでは計上できなかった経費を積み上げているのだ。

 中には趣味のサークルで知り合った“同業者”との飲み会を“勉強会”にすることで経費計上している人もいる。旅行が趣味で旅行ついでに購入したアクセサリーの販売を副業ではじめた夫婦は、旅行代の一部を仕入れ費用として計上し、所得税の還付を受けた。

 ただし、家賃や旅行代といった経費がどこまで認められるかは税務署の判断に委ねられる。最近では家族との食事や私的な旅行、キャバクラでの飲み代などまで経費として申告する人がいて、税務署も目を光らせている。そうした副業収入とは関係ない費用や生活費などは、むろん経費に含めることはできない。

 また、副業を始めてから一切の利益を出さず赤字続きでは事業とはみなされず、「単なる趣味」と判断される。副業が実態を伴っておらず悪質だと判断されれば、脱税として告発されることも考えられる。さらに、サラリーマンが副業をする際には勤務先の許可を得ておく必要があることをお忘れなく。

※SAPIO2015年12月号

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