その男性は、夜8時頃、帰宅途中の路上でひとりで泣いていた小学1~2年生の女の子を見かけ声をかけようかと思ったが、不審者に間違われるのが嫌で110番通報した。そこで、オペレーターに「最寄りの交番まで連れてこられませんか?」「最寄りの交番から警察官を行かせるので、それまで近くで見守っていてあげてくれませんか」と言われたが、その男性はそれを拒否し、その場を立ち去ったという。安全防犯アドバイザーの佐伯由紀子さんは語る。
「交番まで連れて行ったり、見守ったりすれば“それこそ不審者に思われてしまう”と、それ以上のことはしなかった。男性は善意でその子にできることをしつつ、えん罪の恐れがあると判断して、自分のことを守るという自己防衛を実践したのです。
泣いている女の子と一緒にいるところをスマホで撮られて、不審者として顔写真がTwitterなどにあがったら、社会的信用を一気に失ってしまう。そうなれば、真実が証明されても取り返しがつきません」
“声をかけられたくない”という人が増えているのと同じくらい、“声をかけたくない”という大人が増えてきているのも事実。
子供に声をかけるかどうか、声をかけられたらどうするか。その判断がはらむ問題はあまりにも多く、重たい。
※女性セブン2015年12月10日号