横浜の傾斜マンション問題で新築マンションへの不信感が高まる一方で、中古マンションの人気が高まっている。今年10月の首都圏の新築マンション販売戸数は2921戸で前年同月比6.5%減という大幅なマイナスを記録、成約率も70%を割り込んだ。一方、首都圏の中古マンション取引は8.4%増と絶好調だった。
自宅マンションの売却を考えている人にとっては今が「売り時」だ。だからといって安易に売ってしまってはもったいない。事前の準備にひと手間かけるだけで、売却価格が大きく変わるからだ。
自宅不動産を売却する場合、まずは仲介業者に査定を依頼し、売却価格を設定して仲介業者と契約を結ぶ。
購入希望者が見つかれば、希望者に物件を内覧してもらうことになるが、新築マンションのモデルルームと違って中古物件は売り主が居住中のケースがほとんどだ。その状態を「どう見せるか」で、買い主の印象は大きく変わる。
そこで、注目を浴びているのが「ホームステージング」、直訳すれば「家の演出」だ。ホームステージング・ジャパンの加藤望美氏がいう。
「欧米では当たり前のように行なわれています。日本では住んでいる現状のままを見せますが、海外では住宅の価値をより高めるために、飾りつけをしたりインテリアコーディネーターに依頼して部屋を整えたりする。当社は2年半前に会社を立ち上げ、1年ほど前から本格的にホームステージングを始めました。現在は月50件以上のご依頼をいただいています」
ホームステージングは居住中でも空室でも可能で、空室の場合は家具を入れることで、購入検討者が自分の次の生活スタイルをイメージしやすくなる。
「居住中の場合は、生活感を感じさせないことがポイントです。例えばホテルでは、数時間前に別のお客さんがその部屋を使っていたことをまったく感じさせません。そんなモデルルームのようなイメージでコーディネートすることが大切です」(同前)
例えば、時期的に使わない家具や家電はトランクルームなどに預けて部屋を広く見せる。家族の写真やトロフィー、表彰状などは隠しておく。家具を取り替えたり、絵を飾ったりすればより効果的だ。