浮かび上がるのは少しの異論も許さない韓国の言論空間の姿だ。研究者の発表作品を批判するなら、論文・論説でやるのが普通に思えるが、あろうことか検察や裁判所までもが「封殺」に荷担するのだ。
昨年8月、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長が執筆したコラムが朴槿恵・大統領への名誉棄損の疑いにあたると在宅起訴され、出国禁止措置を受けた問題とも同根に見える。検察側は公判で懲役1年6か月を求刑しているが、裁判所は判決公判を11月26日から12月17日に延期。判決内容に注目が集まっている。
懸念されるのは、韓国では「法の番人」であるはずの裁判所が、およそ法に基づいて判断しているとは思えないケースが数多くあることだ。
※週刊ポスト2015年12月18日号