ライフ

最新納骨堂 CP制御でICカードをかざすと骨壺が運ばれてくる

墓には常に生花が供えられており、手ぶらでお参りができる

 都市圏への人口流入などを背景に、狭い敷地で多くの遺骨が収容できるビル型の「納骨堂」の新設が相次いでいる。田舎までお墓参りに行くのが面倒、草むしりが大変──そんな悩みはもう過去のものだ。

 参拝ブースの壁に設置されたカードリーダーに専用カードをかざすと、「受け付けいたしました」と音声が流れる。液晶画面には戒名が表示され、1分ほど待つと扉が開き、家紋と家名が彫られた御影石の“お墓”が現われた。あらかじめ生花が供えられていて、手前には焼香台もある。

 地下鉄・赤坂見附駅(東京都港区)から徒歩2分、一ツ木通りから少し脇に入った都心のど真ん中にある5階建ての建物が「伝燈院 赤坂浄苑」だ。参拝ブースは2~3階に計12か所ある。

 伝燈院は金沢市に本院を置く曹洞宗の寺院。赤坂にある最新の納骨堂は2013年にオープンした。総区画数3758、うち約1100基が販売済みだという。

 販売を担当するはせがわ赤坂営業所・浅田雄一所長は言う。

「御影石のお墓の中には故人様のご遺骨が収蔵されています。すべてコンピューター制御で、ICカードをかざすと骨壺が入った『厨子』が納骨庫からL&Fトヨタの最新搬送システムを使って運ばれてきます」

 天候に左右されず、夜9時まで開苑しているので会社帰りでも気軽に立ち寄れる。墓石のタイプはラウンド型とスクエア型の2種類。どちらも永代使用料(販売価格)は150万円だ。これには施設の永代使用料、御影石への彫刻、厨子、戒名授与などの費用が含まれる(別途、年1万8000円の護持会費が必要)。

 伝燈院の角田賢隆・副住職はこう説明する。

「門戸を広く開きたいとの思いから、宗旨・宗派は問わず受け入れております。分け隔てなくご供養いたしますし、申し込み後に檀家としての拘束はございません。最上階の本堂では葬儀を営むこともできます」

 墓を購入し、伝燈院司式の場合は葬儀の会場費は無料で、葬儀費用を抑えられる。供養の行事をすべて一つの場所で執り行なうことができる。

「祭祀を承継する人がいない無縁墓になっても、当院の合祀供養塔へ遺骨を安置し、永代にわたり供養させていただきます(現在、合祀供養塔は許認可申請中)」(角田副住職)

 そうなった場合のお布施も150万円に含まれているという。

 納骨堂は跡継ぎがいない人が持つイメージが強いが、代々の墓として求める人も少なくないという。新たな「墓参り」のスタイルとしてさらに広がるかもしれない。

撮影■小笠原亜人矛

※週刊ポスト2015年12月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン