スポーツ

角居勝彦調教師 年初の重賞京都と中山2つの金杯がもつ意味

 新年最初の重賞、京都金杯(芝・1600メートル)、中山金杯(芝・2000メートル)。1年の最初の中央競馬開催日に行なわれるだけあって、初詣のような気分のファンも多いようだが、陣営にとってはとても意味のあるレースなのだ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、2つの金杯の意義について解説する。

 * * *
 有馬記念で年が終わり、金杯で新年が始まる。ファンのみなさんにとっては、フレッシュ感、スタート感にあふれる重賞ですね。

 金杯への出馬は、一つ年を重ねた馬の「この進路で飛躍を!」という意志表明、決意表明です。とくに京都金杯はマイル戦で、タメを利かせてラストで切れる馬を、というウチの流儀に合う。

 エキストラエンドは3歳時、あと一歩のところでクラシック出走を果たせませんでしたが、10月に2400メートルの条件戦を勝ちました。4歳時は同距離の日経新春杯から使い始めましたが、古馬の壁は厚く、距離を縮めていったところで結果が出るようになりました。それで5歳時はマイルで勝負しようと考え、2014年の京都金杯に出走、C・ルメールの騎乗で快勝しました。道中じっくりと後方でタメて、直線で一気に抜け出した。

 この年は、マイル重賞ばかり8戦に使い、一線級のマイラーにもまれて成長しました。翌2015年も京都金杯からスタート(2着)。「今年こそマイラーとしてGIを狙うぞ!」と決意表明したとおり、マイル路線をひた走りました。

 決意表明という意味では明け4歳馬。3歳時はやはりクラシック路線にこだわりますが、これからは「マイラーか、ステイヤーか」「芝か、ダートか」といった生き方を問われる。人間でいえば、将来どの方向へ進むのかを決める青年期です。

 馬もそろそろ自己主張が始まります。「2000は長い。オレは1600できっちり走りたいんだ!」とか(笑い)、そんな気配が現われてくる。血統背景をベースに、馬の気持ちやレースぶりを見て、進路を考えます。今後どのレースに使っていくか。調教師にとって最大のミッションといっていいでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン