溝口:従来、山口組と友好関係を結んでいた団体の間でも、まず大阪の酒梅組が山口組との親戚付き合いを止めて離れていったわけです。東京の松葉会でも、親戚付き合いを止めるべしという派があるらしい。そうなると、他の友好団体でも、その流れに同調するものが出てくるのではないか。
鈴木:松葉会ほどの規模になれば派閥があって当然です。当代は六代目側と友好関係にあるが、反主派派が神戸側と手を組みたいのかもしれない。山口組の分裂以降、他の暴力団の間でそういう動きがあること自体、これまでならあり得ないことです。
溝口:本来なら暴力団の世界では、盃を下げた親分を裏切る離脱派は悪で、相手にしてはいけない存在なんです。ところが、いまや両者が対等視されつつある。六代目側からすると非常にヤバイ状況になっている。
鈴木:友好団体では、代目が代わるときに後見人をつけるんですが、これまでは弘道会一色でした。「俺のバックには山口組がいるぞ」という示威行為ですが、暴力団としての威光が失われたら、今後は弘道会を後見人にしない組織が出てくるかもしれません。他の組は、基本的には山口組がどうなろうと関係ない。自分たちがいかにして上にいくかを考えるだけですから。
溝口:その通りだと思う。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号