町内会は任意の団体だが、行政とのかかわりは深い。
「すべて行政がやるべきだ、といっても無理で、行政の手が届かない部分を、住民同士で話し合ってカバーすることもあります。例えば街路灯。街路灯の設置基準は行政で決まっていて、名古屋では100m間隔以上となっているのですが、それでは暗くて不安という地域では、独自に防犯灯をつける。行政が一定の補助もしますが、地域で電気代を負担しています。地域ごとの事情をふまえた対応をすることが、町内会の役割のひとつです」(中田名誉教授)
町内会に加入していない人は電気代を負担していないのに、明るさの恩恵は受ける。そしてそれは法的には問題はない。
「地区の清掃でも、他人任せにしておいて、利益だけを受けていることを気にしないというのであればそれでいいのかもしれませんが、地縁というのは、同じ場所にいることで、お互いが“赤の他人”ではないことに気づくことです。そういうなかで“公共”という意識もでてきます。
でも現在、町内会の加入率は、全国的に減少傾向。隣人への関心が薄くなる背景には、世帯の人数が減っていることも無関係ではありません。シングルマザーや在宅介護が増え、近所づきあいをする余裕がなくなっている人も多い。
それでも、例えば震災の時など、知り合いがいることの心強さは、普段の煩わしさを忘れさせます。組織を維持することが重荷になっても、なくせばいいとは割り切れない。これまで町内会が担ってきた役割を見直して、変えるべき点は変えながら、共存していくことが大事ではないでしょうか」(中田名誉教授)
※女性セブン2016年1月28日号