スポーツ

宇瑠虎、爆羅騎…「キラキラ四股名」力士達の名前の由来

式秀親方(左)と「キラキラ四股名」力士たち

「もう一番やるの? やっちゃうの? そんなに稽古したら強くなり過ぎちゃうな~(笑い)」──。両国の国技館から電車で1時間超、茨城県龍ケ崎市の式秀部屋。荒い力士の息遣いが響く朝稽古で、およそ相撲部屋に似つかわしくない穏やかな声があがる。声の主は、3年前に先代親方から部屋を引き継いだ式秀親方である。

「私の師匠である故・北の湖親方の『良いところを見抜いて伸ばすのが親方の仕事』という教えを、私なりに実践しているだけですよ」(式秀親方)

 ユニークなのは掛け声だけではない。「宇瑠虎(うるとら)」「爆羅騎(ばらき)」「桃智桜(ももちざくら)」──力士の四股名も当世流行りのキラキラネームが並ぶ。だが、それも自分の殻を破るキッカケになればという、弟子を思う真剣な考えからの命名だった。

「165cm、60.6kgと軽量だった宇瑠虎は、ウルトラマンのように3分間全力で土俵を動き回れという願いを込めて名付けました」(同親方)

 角界最多画数の爆羅騎源氣も、本名である爆羅騎に、勢いのある語呂にしようと源氣の名が付けられた。その甲斐あって、入門から5場所で幕下まで昇進し、現在も部屋頭を務める。

 桃智桜の以前の四股名は式乃川。3年前、普段は口数が少ないのに満面笑みで部屋に戻ってきたことがあった。聞くと、大好きなアイドル「Berryz工房」のももちこと、嗣永桃子のイベントに行ってきたという。ならばと、2か月後に親方が持ち掛け改名するや、ももち本人の耳にも届きブログで応援メッセージを綴ってくれた。俄然やる気になったのはいうまでもない。1年後、37歳にして自己最高位の序二段53枚目に昇進した。

「もちろん幕内以上の関取を出したい。でも、強ければいいというわけではありません。相撲を通じて人間形成ができて、お客さんに愛され、負けても絵になる力士を育てたいのです」(同親方)

 自由に伸び伸び稽古に取り組む式秀部屋の力士たち。そのキラキラ四股名が大一番で轟く日を期待したい。

撮影■藤本和典 書■財前謙

※週刊ポスト2016年1月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン