ライフ

中学受験の難易度と生徒の身長にまつわる俗説について

子供の学力と身長には何らかの相関があるのか

 受験シーズンのなか、コラムニストのオバタカズユキ氏は受験生に共通するある特徴に気づいた。本当なのか、どうなのか。

 * * *
 受験シーズン真っ盛りである。特に東京の中学入試は、2月の1~5日に集中している。重たそうなカバンを下げた子供たちが、夜の9時、10時過ぎに、進学塾から飛び出してくる姿をしばしば目にする。お迎えの保護者のもとに駆け寄る子だけでなく、そのまま一人で足早に駅へ向かう子も少なくない。

 中学受験は親の力が9割と言うが、いやいや、それは大人の一方的な見方ではないか。インフルエンザ予防の大きなマスクのせいで、どんな顔をしているのかいまひとつ分らないのだけれど、子供らの強い目ヂカラに、「ほう!」と感心させられることだってあるものだ。

 はじめは親の意向でそうすることになった受験だとしても、なんだかんだ乗り越えていくうちに、自分の意志でゴールに向かうようになる。きれい事じゃなくて、受験が精神的な成長の機会となりえているケースも多いはずだ。塾帰りの「頼もしい」子供の姿を見かけると、そんなことを思う。

 ただ、そのような中学受験生に関して、ひとつだけ引っかかっている問題がある。女子はそうでもないのだが、男子に小柄な子供が多すぎるような気がしてならない。

 彼らの大半は12歳。統計をチェックすると、同年代の平均身長は150センチを少し上回っているのだが、どう見てもマイナス5センチ、マイナス10センチくらいの背丈の子が目立つ。もちろん、中学生かと見まがうようなLサイズの男子受験生もたまにいるのだが、やたらSサイズ、SSサイズが多い、と前々から気になっていたのだ。

 しかも、である。去年は用あって、中高一貫校の説明会にずいぶん足を運んだのだが、その会場で見かける男子の身長と入試難易度とに相関関係があるとしか思えない。

 いわゆる中堅校の説明会では、「メガネ率がけっこう高いな」というくらいで、受験生のサイズは気にならなかった。それが、難関校に行くと違った。メガネ率がさらに上がるだけでなく、全体的に背が低くなるのだ。最初は、その特定の難関校だけの傾向、あるいはたまたまその説明会の参加者がそうなだけ、と思ったのだが、別の難関校に行ってもSサイズの世界だった。でもって、またまた別の中堅校に行ってみると、そちらではMサイズが主流なのであった。びっくりである。

 そして、もっと驚いたのは、とある大手塾を覗かせてもらった時である。有名難関校にターゲットを絞った特別コースの生徒たちが百人程集まっていたのだが、成績順に分けられたクラスごとの平均身長にも、相関関係があるとしか見えなかった。

 たとえば、そのコースは20人ずつ、成績の良い者からA、B、C、D、Eの5クラス構成となっていたとする。すると、これが見事なぐらい、E→D→C→B→Aの順にサイズがダウンしていく。より正確に言えば、SではなくSSサイズの生徒の人数が違う。あの子はまだ3年生くらいだろ、と錯覚するような子が、上位クラスになるほど目立つ。

 見学させてもらって、やたら小さいのがいるな、それに落ち着きがないな、と思ったら、その子はかなりの高確率で“すごく出来る子”だ。そういう子はEクラスにはいなかった。Dに1人か2人、Cにちらほら、Bクラスでかなり目につき、Aクラスでは過半がSサイズなのだった。

 この受験学力と身長との反比例な相関関係。残念ながら、それを示すデータはない。でも、ネットでいろいろ検索してみると、私と同じ疑問を持っている人が方々にいた。そのほとんどは受験生や元受験生の保護者であった。代表的なのはこんな書きこみだ(以下、各事例はアレンジしています)。

〈息子がこの春から憧れだった私立中に通っています。先日、初めての保護者会があったのですが、そこで息子の同級生たちの背の低さに驚きました。小学校で真ん中より小さいほうだった息子が大きく見えたのです。それほど他のお子さん方が小さかったのです。いったいどういうことなのか。息子に聞くと、「俺もそう思う!」と言います。夫は、「受験勉強で養分吸い取られちゃったんじゃないか(笑)」と冗談にするのですが、私は笑えません〉

 ネットでこの件に触れている人のほとんどは、母親だ。中には、次のように自分を責めている人もいる。

〈うちの長男は、難関校とされている中学にご縁をいただきました。入学前の招集日に学校へ出向くと、同級生になる周りの皆さんの背が高くなく、戸惑いました。うちの長男も背が低いのです。もしや、それは激しい受験勉強のせいでは。成長期に眠りたいだけ眠らせてやらなかったから、身体が成長できなかったのかも。そう考えると、とんでもない過ちをおかしてしまったと、不安になっています〉

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン