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2016.02.12 16:00  週刊ポスト

定年退職男 喋る相手は妻や猫や1日3回行くコンビニ店員

 人づきあいがなくなると老化が進む、というが、自分は同僚や友人と会っているから安心、と高をくくっている人も多いのでは? 実は同じ人づきあいでも、特定の相手とばかりつるんでいると「老化」していくのである。

 例えば、つきあう相手が固定化して、動脈硬化ならぬ「人脈硬化」が起きたり、前例踏襲で仕事を進めるだけになり、変化や挑戦にNOを連発してしまう『NO梗塞』になったりする人は多い。

 人脈硬化やNO梗塞は、仕事に支障が出るだけに問題はとどまらない。会社勤めをしている間は、それなりに同僚や取引先との交流があるし、毎日会社に通勤するので、会社帰りに飲みに行ったり、趣味の会に参加したりといったこともそれほど億劫にはならない。

 しかし、会社を定年退職すると、生活スタイルがガラリと変わり、会社絡みの交流さえもほとんど途絶えてしまうため、「人脈硬化」や「NO梗塞」を発症してしまう人が多いのだ。都内在住の元新聞記者の男性(66)はこういう。

「あれだけ人と会って情報を追っかけていた職業だったが、定年退職で仕事をしなくなると、肉体的にも精神的にも、行動範囲が狭くなる。気楽に話が通じる人としか会わなくなるが、雨が降ったり寒かったりすると、それさえ面倒になってくる。最後は近所の猫に『ええ天気やな』と話しかけている(苦笑)」

 新聞記者という人脈を広げる職種の人でも、定年退職で人脈硬化が一気に進んでしまうのである。元酒造メーカー勤務の男性(69)も現在の生活をこう話す。

「ずっと営業畑を歩いてきたから、人と会うのが仕事みたいなものでした。夜はうちの商品を扱ってくれている店で食事するのが日課で、その店の主人や常連客といろんな話で盛り上がった。

 話のネタ集めに新聞や週刊誌、本もよく読んだ。だけど、いまは郊外から都心に行くのも億劫。たまにゴルフにも行くけど、いつも同じメンバーで、話す話題も孫の話、病気の話、あとは息子の嫁か家内の悪口と決まっている。話す相手がいないから、新聞も読まなくなったよ」

 人と会わなくなると、情報収集もしなくなり、世の中からますます隔絶されていくようだ。元製造業の男性(67)も、まったく人に会わなくなったという。

「話す相手は、嫁とコンビニの店員しかいない。1日に3回コンビニに行くんだけど、そこの店員との会話が楽しいよ」

 楽しいのなら、それはそれで構わないのかもしれないが……。

※週刊ポスト2016年2月19日号

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