越山:リサーチのチームが電話で現地のコーディネーターに話を聞いたりネットで調べたりしてから、制作スタッフでロケハンに向かいました。別番組で台湾のロケに行った太川さんから、「台湾のバス、すごかったよ」と話を聞かせてくれたこともありました。
――台風でバスが運休になるのは、最大のハプニングでしたね。宿泊先のホテルで蛭子さんが「失敗しても絆が深まる」と言って一瞬ヘンな空気になったシーンでは、試写室でも笑いが起こりました。
越山:あれは出演者だけでなく、スタッフも含めてどうしようかと真剣に話し合っていたところだったんです。あそこにいる誰もが「この人、絶対そんなこと思ってないだろう!」と突っ込みたくなる瞬間でした(笑い)。公開日が先に決まっていたので逆算して台風シーズンと重なる9月下旬のロケとなってしまいましたが、まさか足止めされるとは思わず、スタッフも本気で焦っていました。
――台風が来ることは事前に予測できたのでは?
越山:一週間前から天気予報をチェックしていて、「もしかすると」とは思いましたが、出演者の方もお忙しいので日程は動かせない。心配しても仕方がないので気づかないふりをしていました(笑い)。
――映画版とテレビ版、スタッフの顔ぶれに違いは?
越山:映画のために特別チームが編成されたわけでなく、いつもと同じスタッフで製作しました。ただ違うのは、映画では4K対応のカメラで撮影したということです。いつもとは違う4K専用の編集室で作業を行い、完成したのが11月末。12月に新年放送分のロケに出るという、ハードな日程でした。
――蛭子さんは完成した映画について何か言っていましたか?
越山:蛭子さんは普段は放送を観ないらしいんですが、舞台挨拶もあるので今回は特別に事前に観てもらいました。これまで1000本以上の映画を観てきた映画フリークの蛭子さんは、「ベスト10には入らない」と言っていましたが「50何位かな」とは言っていました(笑い)。当事者が言うのもおかしいですが、蛭子さん的にはロードムービーとしてなかなか良い出来だったようです。いろんなハプニングにハラハラドキドキしながら、3人と一緒に旅をしている気分になれると思います。ただ繰り返しますがあくまでシャレですので、結果の責任は取れません(笑い)。
◇『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』
太川陽介、蛭子能収、そしてゲストのマドンナの3人が、路線バスのみを使って3泊4日でゴールを目指す人気旅番組。年に2~3回、テレビ東京の『土曜スペシャル』内で放送され、2016年1月2日には最新の第22弾が放送された。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』は初の海外ロケを敢行。マドンナに三船美佳を迎え、台北から最南端のガランピ灯台を目指す。全国公開中。