この年はドバイワールドカップ(4着)、帝王賞(2着)と走った後屈腱炎を発症、2年以上の休養を余儀なくされました。スピード馬の宿命でしょうか。

 体質的には苦労しましたが、体がどんどん変わっていく馬でもありました。レースで走って、休みが入るごとに、コンパクトだった体型が大きくなっていく。大きくなっていくだけでなく、形もよくなっていきました。変わりっぷりの良さは管理した馬の中でも一番です。

 6歳秋に復帰し、この年から阪神コースに替わったJCダートをルメール騎手で勝ちます。暮れの東京大賞典も制し、2度目の最優秀ダートホースに選出されました。8歳まで走って23戦12勝、中央・地方交流合わせて7つのGⅠを勝ち、現在は種牡馬として活躍しています。

 変化という意味では、芝での走りを砂で生かせた馬だと言えます。芝で追い切り、砂を走る。芝で負けた次には必ず勝った。そんな記憶がカネヒキリに残っていたのかもしれません。「芝を走った後は、いいことがあるぞ」と。

●すみい・かつひこ:1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後14年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位(12月20日現在)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。競馬の他、馬文化普及や障害者競馬などにも尽力している。主な管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイアなど。

※週刊ポスト2016年2月26日号

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