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三菱系社員の愛社精神を支えるエリート意識、高給、学閥

「三菱最強伝説」と見出しを打った『週刊ダイヤモンド』(16年1月30日号)が話題となった。日本のみならず、世界に轟く「三菱」の強さを様々な角度から分析したものだが、実は三菱グループは総売上58兆円を誇る世界一のグループ企業だ。「三菱」の名を冠する企業のほか、東京海上ホールディングス(損害保険)、JXホールディングス(石油)、キリンホールディングス(飲料)など、様々な業界のリーディングカンパニーも三菱グループだ。

 終身雇用制度が崩壊し、「働くこと」への価値観が変わりつつある日本において、「愛社精神」という言葉は死語に近い。しかし不思議なことに、三菱グループの社員に話を聞くと、自然と自社への誇りを語り始める。三菱重工業の40代技術系社員の話。

「先日(2月17日)のH2Aロケット打ち上げの様子をテレビで見ていました。私はプラント部門なのでロケットとは全く関わりはないのですが、それでもロケットに大きくスリーダイヤが刻まれているのを見ると、とても誇らしくなりました。ウチの会社の製品が宇宙へ羽ばたいたんです。やっぱり感慨深いですよね」

 同じく三菱重工業の30代技術系社員はこう語る。

「飲むビールはキリンです。最初は上司から『同じグループのビールを飲め』といわれて嫌々飲んでいました。元々はアサヒ派だったので(笑い)。転機になったのは高知に行った時ですね。高知はキリンラガービールの消費量が日本一と聞いて、『ウチのグループのビールが1番かァ』と嬉しくなった。考えてみれば高知は(創業者である)岩崎弥太郎の出身地。三菱の聖地巡りをしたような感覚になったのを覚えています」

 中でも愛社精神が強いといわれるのは三菱商事の社員だ。

 興味深いデータがある。2010年、企業の年収や口コミ情報などに詳しい情報サイト「キャリコネ」を運営するグローバルウェイが、「企業への愛社度」ランキングを発表した。同社が保有する3700件以上の企業内部データから、主要133社を対象に「年収」や「仕事のやりがい」、「労働環境」など、7つの指標の満足度を数値化し、会社ごとに集計したものだ。

 この中で「愛社度」が顕著だったのは総合商社で、三菱、住友、三井はそれぞれ1、2、5位に入った。他の財閥系と比べても、いかに三菱の愛社精神が強いかがわかる。

 その理由は何かと社員に尋ねると、「世界を相手にビジネスができるから」、「価値の高いビジネススキルを身につけられるから」という答えが返ってきた。

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