西田、風吹はじめ、主役を盛り立てる脇役も奮闘しているのに、今一つ盛り上がらないのはなぜか。その理由のひとつは、この時間枠そのものの性格もあると思う。
ここ数年、日曜劇場は、『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』など池井戸潤原作の企業人ドラマ、『運命の人』『とんび』『天皇の料理番』など昭和期ドラマ、宮藤官九郎の『ごめんね青春!』、重松清原作『流星ワゴン』など作家性の強い作品で話題を呼んできた。主人公のカラーもセリフも敵味方もくっきりはっきり、味の濃いドラマに視聴者もなり親しんだ枠なのである。
さらに言えば、日曜日夜九時台に「現代のホームドラマ」を成功させること自体、難しいのではないか。土日休みの場合、家族サービス、たまった家事、こどもたちの明日の準備と、一日家族モードで過ごす視聴者も多いはず。日曜夜は正直、家族時間に飽きてもくる。自分の時間も欲しい。そこに様々な世代の家族の問題を提示されると、現実的すぎて…。
実際、日曜九時枠では、最終回に23.9%を記録した2011年のフジテレビ『マルモのおきて』以来、大ヒットホームドラマは出ていない。『マルモ』の場合、疑似パパ阿部サダヲの笑える場面があったり、犬がしゃべったり、芦田愛菜・鈴木福のコンビが元気よく歌ったり踊ったりして、現実味とは違う演出があった。なんだかんだいって、明るく締めくくられていたのである。
役柄上、仕方ないとはいえ、『家族ノカタチ』主役の大介と葉菜子は、基本不機嫌。むすっとしている。大介のセリフも「そんな不幸話、どうでもいい」「なんだよ、それ」「逃げるか、普通」と批判が多い。いっそ極端な毒舌男ならば、スカッとするのだが、大介はどこまでも等身大。これはクライマックスに向けての作戦なのか?
今後、陽介の秘密が明かされ、家族にはさらなる変化が起きそうだ。ここまで不機嫌をためてきた大介と葉菜子が、ぱーっと明るく春を呼び込む日がくるのか。ハジける瞬間に期待したい。