ライフ

心不全 治療後約1年半の間に死亡か再入院する割合は41.7%

心不全は予後にも注意

 日本人の死因第2位である心疾患。その中で死亡者数トップが、年間約7万人が亡くなる「心不全」だ。心不全と診断された場合、基本となるのが薬物療法である。血圧を下げる薬、交感神経の働きを抑制して心臓の過剰な働きを抑える薬、体内の塩分や水分を排泄することでむくみ、血流量を減らして心臓の負担を減らす利尿薬が一般的に処方される。

 心臓の筋肉が何らかの原因で異常を起こす「拡張型心筋症」など重症心不全患者にはペースメーカー治療も選択肢となってくる。

 近年、その効果を注目されているのが「心臓リハビリテーション」だ。ウォーキングなどの運動によって体力を回復し、食事や生活習慣の見直しと組み合わせて再発を防止する。上尾中央総合病院の特任副院長、一色高明氏が語る。

「心臓リハビリで運動するほうが薬物療法よりも重症化や再発、死亡率が下がるというデータがあります。運動中の血圧や心電図などを調べる心肺運動負荷試験により患者の個々の症状に応じて安全に取り組めます」

 心不全治療のエキスパートで関川病院副院長の梶本克也氏らが行なった疫学研究調査によれば、治療後約1年半の間に何らかの疾患で死亡または再入院する割合は41.7%とかなり予後の悪い病気であることもわかっている。

「退院後も定期的な運動をすること、きちんと薬を服用すること、塩分制限や体重維持、禁煙、過度の飲酒を避けることはいうまでもありません。再発リスクを減らすためにはどれも欠かせません」(同前)

 命を授かってから今日まで片時も休まずに働いてくれている心臓。いたわる気持ちを忘れると、取り返しのつかないことになる。

※週刊ポスト2016年3月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン