芸能

TBS&フジ 好調な家族ドラマを対比してみた

番組公式HPより

 いわゆるホームドラマ、は時代の合わせ鏡だ。いつの時代も「家族」は変わらぬ大きなテーマ、名作も数多く生まれてきた。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が2つの作品を挙げた。

 * * *
 山口智子がインタビューで「子供を産んで育てる人生を望まない」が「世界で一番幸せだと思って生きています」(『FRaU』3月号)と語り、その潔さが素晴らしい、カッコイイ、と大反響を巻き起こした。

 大量の情報が溢れかえっている時代、しかし家族の多様な「カタチ」についてはまだまだ語り尽くされていない--反響はその証しのようにも思える。今クールのドラマも追い込みに入っている。そこで「家族」をテーマに掲げた「ホームドラマ」二本に注目してみたい。

● 『家族ノカタチ』(TBS系日曜午後9時)

 こだわりの美学を持つ分、他人が許容できない大介(香取慎吾)と、やり手OLでバツイチ女の葉菜子(上野樹里)。高層マンションの上下に棲む二人が主人公。

 大介はきっちりとした性格の持ち主で「週6でジム通いのほか、話題の書籍や映画などのチェックを怠らず、自分磨きが大好きな男。一人暮らしに不便さを感じたこともなく不満もない。むしろ、自分の生活圏内に他人を迎え入れることをリスクと考え、必要以上に他人との距離を縮めようとはサラサラ思わない」(TBS番組公式ホームページ)。

 他人に対するイライラ感、不機嫌さがリアル。けれども、冷血漢ではないのがポイント。どこかにほんのりとした温かさ、傷つきやすさが同居している大介。そんな「暖かさ」「繊細さ」が、セリフではなくて役者・香取慎吾からじわっとにじみ出てくる点が秀逸だ。

 冷たいのではなく、不器用。他人に関心がないのではなく、自分が傷つきたくない。だから、他人を受け入れない方が楽と決め込む──ほら、そこかしこにいるでしょう、このタイプ。

 香取は表情を1ミリも変えない。ぐっと我慢して不動のまま。奥歯を噛みしめる。言いたいことをこらえている。どんな言葉を使えばいいのか、迷っている。相手を受け入れてはいけないと緊張している。震える頬の肉。ひしひしと伝わってくる感情。その微妙なあたりを実に上手に演じている。

 相手役の上野樹里も負けていない。仕事はデキるがどこか辛辣で協調性に欠け、それを自覚しているからこそ一人で生きていく覚悟のバツイチOLを、いきいきとリアルに演じ切っている。

 ドラマの主人公二人は今の社会を映し出す鏡のよう。他人を許容できない男と女。そこに、「家族」というおせっかいな人々が割り込んできた時初めて、二人はつながりを持つことになる、という物語。

 そもそも二人にとって「家族」は想定外だった。しかしその「家族」が接着剤となって、二人が接近していくというプロセスを、一見ライトなタッチで鮮やかに描き出すこのドラマ。演出も脚本も細部まで細かく丁寧に作り込まれた「恋愛ホームドラマ」として見事。

関連記事

トピックス

不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン