国内

山口組分裂騒動 幹部と組員の利害不一致あり大抗争起きない

兵庫県警による神戸山口組有力団体への家宅捜索 共同通信社

 暴力団対策法の制定から25年。暴力団の構成員数は減ったとされているが、その存在が消える日が来るようには見えない。とくに日本最大の広域指定暴力団である六代目山口組から神戸山口組が分裂したことで、一般市民の日常生活にも影響が出るのではないかと危惧されている。暴力団事情に詳しいジャーナリストの溝口敦氏と鈴木智彦氏が、山口組分裂騒動について論じた。

 * * *
溝口:現実問題として、暴排条例で厳しく取り締まられているから、暴力団はシノギができない。金も将来性もないのが分かりきっているから若い人が集まらない。若い人は親分の「部屋住み」からはじめて、まさに雑巾がけも含め、親分や兄貴分に顎で使われる生活に耐えられない。それで、現在の暴力団は高齢化している。

鈴木:いい物が食えて、いい車に乗れて、いい女が寄ってくる……。昔ならそんなヤクザに憧れたんでしょうけど、現実は厳しいですからね。

 私が「いまは貧乏ヤクザばかりだ」などと雑誌に書くと、「儲かってる奴もいるんだから、そう書いてくれ。若いもんが来なくなる」とお願いされる(笑)。長年取材していると暴力団の変質を感じざるをえません。今回の山口組分裂騒動は、暴力団の変化を象徴していると感じます。溝口さんは分裂騒動をどう見ていますか?

溝口:抗争が起きないのが、とても不思議です。

鈴木:確かにびっくりするほど静かですね。

溝口:そこには組織内部の上層部と中堅層以下の組員の利害の不一致があると言えます。上層部は若い衆が抗争を起こしたら困る。というのも暴対法改正で「使用者責任」を問われるようになり、組長に累が及ぶようになったから。

鈴木:組のために行動を起こす「組事」の量刑も極端に上がりました。組の掟に従って敵対相手を殺したら、情状酌量などなく無期懲役以上は間違いない。

溝口:「70歳過ぎて刑務所は勘弁してくれ」というのが、組長たちの本音でしょう。一方、中堅層以下、若い人たちにとっては、「ケンカしてこそヤクザ」。しかし暴排条例のせいで、夜の街でたとえば客引きにバカにされても、返し(報復)もできなくなった。ほかの勢力を侵食しなければ新たなシノギもできない。「ケンカも返しもできないヤクザなんてやってられるか」という気持ちがある。

鈴木:私は若い子分たちが当事者感覚を持たなくなったのが、抗争が起こらない一因なのではないかと思います。

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン