芸能

橋爪功 「僕の場合は生きていること自体がサービス精神」

文学座出身の橋爪功

 文学座出身の橋爪功は、同期に比べて売れる役者になるまでに時間がかかった。若い頃は売れることはあきらめていたという橋爪が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 橋爪功の文学座研究所同期には岸田森、寺田農、樹木希林ら、錚々たる名優が揃っていた。

「最初に売れたのは寺田農かな。あいつは細いし、タイのキックボクサーみたいな柄だし、これは売れるなと思いました。希林は頭が良くて『こいつはすげえ』と思ったりしましたね。それだけに、『俺は時間かかるぞ』と思いました。なかなか評価してもらえないだろうという自覚がありましたね。若い頃は売れることは諦めていて、そういうことを考えるのを忘れていました。

 ただ、マスコミに名が売れないと食えないじゃないですか。それで三十代の後半くらいからテレビドラマに小出しで仕事をいただくようになって。その頃は変な役ばかりやっていたから、演じていて一番面白かった。

 それで段々と自分の所にその役が来た理由が読めるようになりました。仕事くれた人たちの『この役は橋爪にやらせておけば間違いないだろう』という狙い通りにやっていれば、さほど外れはないかな。

 売れてはなくても、俳優としての自信はなんとなくあったような気がします。それに、『どうせ、これをずっとやっていくんだろうな』と思ってたから。ですから、『売れる』という意識よりは、『小商いを積み重ねていけばなんとかなるだろうな』って。

 そんなこと言ってはいるけど不安といえば不安だったね。もうちょっと売れないかなと思った時期もあった。『あいつが売れてるなら、俺が売れねえわけがねえだろう』と。それだけ芝居への自負心はあったから」

 情緒あふれる口跡を利かせたテレビ時代劇『剣客商売』(1998年、フジテレビ)をはじめとするドラマのナレーションや朗読劇など、声の仕事でも橋爪は確かな実績を残してきた。

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン