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乙武洋匡氏の不倫謝罪文に私が心底落胆した理由

 乙武氏には、次の国政選挙で自民党から立候補の予定があるそうで、週刊新潮によれば、〈最終的には東京都知事になる夢を胸に秘めて〉いるとのことだが、都知事に立候補、いいと思う。できれば、次の都知事選に打って出て、何もしない舛添知事を破り、東京五輪を仕切ってくたら面白いではないかと、私は考えていた。世界中の誰が見ても正真正銘の障害者知事、その知事がパラリンピックにより力点を置いた五輪を開催したならば、「世の中が動く」と直感したのである。

 それだけの事を為し得る大物ゆえに、五人十人の不倫騒動ぐらいは、だから何だである。威張れることではないにしても、スキャンダルで叩かれて、さらに強く大きくなるところを見てみたい。今回の騒ぎは最初の洗礼だ。さあ、どうさばくのかな、と注目していたくらいである。

 ところが、だ。ネットで騒がれた翌日、まだ週刊誌の当該号が出る前日に、乙武氏は〈『週刊新潮』の報道について〉という謝罪文をネットで公開した。

 白いペラ一枚に、〈このたびは私の不徳の致すところにより、多くの方にご迷惑……〉と神妙な感じで書き連ねている。不徳はそうかもしれないが、誰に迷惑をかけた? 多くの人々が貴兄のスキャンダル報道を楽しんでいるだけだろ? なにその芸のない政治家答弁みたいなの? と、がっかりした。

 加えて、である。その謝罪文には、彼の配偶者の乙武仁美氏が、署名入りで、〈このような事態を招いたことについては、妻である私にも責任の一端があると感じております〉などなどと、したためていた。

 何この古き良き政治家の妻の弁明みたいの? いちばんしんどい思いをしたのは貴女では? その心情吐露もなしに良く出来た糟糠の妻ポーズなの? それって、世の中の動きを逆回転させるような、世間の人々との対話を完全拒否して事なかれ主義に籠るみたいな、だっさい振る舞いなんだけど、お宅の夫はそう見られていいの? 妻というマネージャー役としても残念無念、と思った。

 どうやら私は、乙武洋匡という才能を買いかぶっていたようである。この不倫騒動で彼の政治家への道がどれだけ困難になったかは、分らない。分らないが、謝罪文を見て、欲しいものを手にするためなら何でもありの人間なんだな、と確信した。心にも思っていないことを平気で口にする夫婦に権力を与えてはいけない、私の期待は間違っていた、と不明を恥じた。

 政治家としての仕事とプライベートは分けて考えるべきである。だが、政治家を志す者は、言葉の力を軽んじてはいけない。悪いが、乙武氏の言葉は、今後、そうそう好意的に解することはできない。

 あと、これはヨソの家庭のあり方だからご勝手になのだが、一般論として、少なくとも5人の女性との不倫関係のある男が、どんなに自分の過ちを認め、反省したところでも、それで生き方を改めることはまずありえない。ほとぼりが冷めたら、きっとまた手を出す。このレベルの女遊びになるとそれはある種の依存症で、彼が乗り越えてきた先天性の障害よりもやっかいかもしれないビョーキだからだ。

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