国内

乙武洋匡氏の不倫謝罪文に私が心底落胆した理由

謝り方も問題

 乙武洋匡氏の不倫騒動が波紋を広げている。コラムニスト・オバタカズユキ氏が謝罪文から読み解く乙武氏とは。

 * * *
 古いかもしれないが、私は、不倫をするなら結婚するな、まだまだ遊びたければ独身で居続けろ、と考える人間である。同時に、ヒト様の下半身問題を云々するのはゲスであって、週刊誌が騒ぐのはそんなものだとしても、一緒になって「許せぬ、不倫野郎!」と世間が叩くのはいただけない、と思う個人主義者でもある。

 だから、乙武洋匡氏の不倫問題を知った時、氏のふるまい以上に、世間の反応のほうが気になった。3月23日(水)に「デイリー新潮」の〈「乙武洋匡」氏が不倫を認める 過去を含め5人の女性と〉なる記事をヤフートピックスで読むと、すぐに世評をチェックしてみたのだが、まずはその結果がなんとも言えないものであった。

〈ざっと検索したところ、「乙武、すげー!」が多数派。
それって、氏のことを、人間として見ていないってのに近くない?〉

 私は、メモ書きのように、上記の文をツイートしたのだが、その段階では、意外に乙武叩きが少なかったのである。2ちゃんねるは見ていない。チェックしたのは、主にツイッターとフェイスブックなのだけど、その過半は乙武氏の所業に「好反応」だったのである。好反応にわざわざカッコをつけているのは、もちろん、そこに言外の意味が詰め込まれているからだ。
 
 あの世間の反応を簡単に言えば、好奇心そのものだった。何のか? そりゃあ、乙武氏の不倫現場の詳細についての興味だ。

 ネット上には、彼の行為に関する、ありとあらゆる想像、妄想、揣摩臆測が飛び交っていた。その詳細を知りたい向きはググればいいので、ここでは割愛する。要は、あの身体でどうやって性交渉をしてきたのかについて、ものすごい数の人々が興味津々なのであった。

 私は、「えー、そこかぁ??」と一瞬たじろいたが、だからと言って、人々の衆愚性を腐してみたいとは思わない。ゲスなニュースの反応はその程度にゲスであって当然。あの身体でどうやって~と想像することは、氏のことを人間として見ていないのに近い態度だが、氏自身も、あの身体を最大限有効活用して成り上がってきた人間だ。

 入手した『週刊新潮』の記事中に、〈「爽やか」――。『五体不満足』の乙武洋匡氏(39)といえば、ほとんどの人がこのイメージを思い浮かべるだろう〉と書かれていたが、その本がベストセラーになった当時はともかく、近年の乙武氏は決して「爽やか」だけで語れる人間ではなかった。

 ツイッターでは、頻繁に自虐的なジョークを飛ばし、飲食店でのご乱行なども話題になり、それこそ女好き、下ネタ好きで通っていた。ネット民の間だけで知られていたわけではない。テレビ番組でも、なかなかブラックなトークをかましていたし、「あの人はすごいよ」と何人もの芸人らが、氏のやんちゃぶりを語っていたものである。乙武=爽やか、という図式は、週刊新潮が彼のスキャンダルを報じるに都合のいいからそうしたのか、同誌の認識が10年遅れなのか、どっちかだ。

 それはともかく、あの身体を盾にして、けっこうな毒も吐き、のしあがっていく乙武氏に、私は期待するものがあった。障害者が「かわいそうな人」ではなく、健常者と同じように人それぞれであるという常識を、彼ほど自然に、かつ説得的に広めてきた人間はいないと思っていたからである。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン