「放送行政を所管する総務省は、今年から新たにBSを使って4Kの試験放送を始め、2018年の本放送、そして東京五輪が開かれる2020年ごろには4Kだけでなく、さらに高画質な8Kのチャンネル数を増やして多くの人が視聴できる環境を整えようとしています」(安蔵氏)
当初、総務省のイメージでは、BSで行なう新設の4KチャンネルはNHK+在京民放5社に1チャンネルずつ割り当てたいと考えていたようだが、すんなりと決まるかどうかは不透明だ。
「民放の中には設備投資や制作コストがかかる4K放送の本格参入に二の足を踏む局もある。課金の問題も含め、どこまでビジネスとして成り立つかを見極めるまでは、民放連合で1チャンネルでもいいのではないか、との意見もあった」(総務省関係者)
市場調査会社の富士キメラ総研によると、2015年にわずか1.9%だった4Kテレビの世帯普及率は2020年に33.3%まで高まると予測している。〈地上アナログ停波によるテレビ買い替え特需の買い替え時期にあたる2016年以降、堅調に普及率が拡大する見通し〉との分析からだ。
ただ、先行する4Kテレビの製品化でいくら普及率が上がっても、このまま対応コンテンツ不足や五輪に代表される大型イベントの中継などでその醍醐味が発揮されないようなら、“テレビ離れ”自体が進んでしまう恐れもある。