連絡を取った2014年6月当時、A子さんの公開捜査が始まっており、事件の重大性を鑑みた女性セブンは翌週末、両親をB子さんに紹介し、透視を依頼。快諾した彼女は、さっそく自宅のリビングで透視を始めたのだった。時刻は14時。涼しさの残る初夏の日光市で、一同は奇跡を目の当たりにした。以下、当日の一部始終を再現する。

 A子さんの顔写真に左手をかざし、目を閉じるB子さん。30秒ほど経っただろうか。ふーっと深く息を吐いて目を開ける。

「少し視えました…」

 そう話すB子さんが最初に説明を始めたのは、A子さんの自宅周辺の位置関係だった。彼女の住所をB子さんには教えていないにもかかわらず、住宅の並び、道路、交差点を次々に明かしていく。実際に全て一致しており、両親は絶句してしまう。

 持参した地図を見せると、B子さんはそれを見ながら話を続ける。

「自宅近くの、このあたりで車に乗せられています。そのまま国道に出たのかな。途中で高速に乗っていますね。方角でいうと、南の方になるのかな…」

 当初監禁されていた千葉県内のアパートは、A子さんの自宅からは南にあたる。

「でも、どこに住んでいるかまでは視えなかった。申し訳ないです。“助けて!”とか、そういう声も流れてこない。もしかしたら、声を出せない状態なのかも…」

 明確な位置をつかめず、B子さんの表情は曇っていく。しかし、代わりに彼女はノートにイラストを描き始めた。

「連れ去った男の顔はおぼろげに視えたんです。20代前半くらい。こんな顔して、髪が目にかかるくらいかな。眼鏡もかけてるね。顎がシュッとしている。一見すると真面目そうな…。こんな感じです」

 その時、彼女はサラサラと3分ほどかけて似顔絵を描いた。A子さんが発見され、誘拐容疑で寺内容疑者が確保された今、改めてB子さんのイラストを見比べた女性セブン編集部は背筋が凍った。20代前半の男性、髪の毛、顎の形、そして眼鏡…。あまりにも似ている。

◆「娘は笑顔で手を振ってきた」

 B子さんの透視は、抽象的な言葉で濁すのではなく、名前や顔など、異常なまでの具体性を伴う。A子さんの両親も衝撃を受け、犯人のイラストと共に、透視で見えた情報を後日埼玉県警に伝えたという。それだけでなく、両親は以後もB子さんの透視力を頼り、犯人の逃走経路を探ろうとしてきたそうだ。3月28日の夜、A子さんの父親が記者会見を開き、こう語った。

「昨日の夕刻、病院で再会しました。検査入院のため、娘は車いすに乗っていました。あの娘が笑顔で手を振って私の方にくるんです…。“お帰り”と言葉をかけました。必ず戻ってくると信じていました。この日がようやく来たんだなって…。いろんなかたの力を借りました。そのおかげで、絶対に捜し出すんだという自分の力に変えることができました。空白の2年分、娘といっぱい話したいです」

 2年前に比べて、身長が少し伸びていたというA子さん。容疑者の鬼畜の所業で奪われた時間を、家族はこれからゆっくりと取り戻していく。

 親子の再会劇を受けて、B子さんが改めて語る。

「娘さんが見つかって本当によかったです。私もずっと無事を祈っていましたから…。ご両親からは、娘さんの写真を預かってくださいと言われて、以来神棚にのせていたんです。私の力なんて全然。絶対に諦めなかったご家族の強い意志と、娘さんの帰りたいという想いが奇跡を呼んだのだと思います」

※女性セブン2016年4月14日号

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