人々の心に染みる歌を歌い続け、今年デビュー50周年を迎えた歌手・森山良子(68才)。現在でもテレビ、ラジオへの出演、コンサートなど精力的に歌手活動を続けている。しかし、その歌手人生は決してまっすぐなものではなかったという。
歌手として何よりも大事な喉を守るために、マスクは四季を通して必需品。スカーフをグルグル巻きにし、寝るときは靴下を3枚履く。コンサート前日は、1時間でも、1分でもいいから長く睡眠をとるようにしていると話す森山は、今も欠かさず声楽家・坂上昌子さんの元にボイストレーニングに通っている。
しかし、こんなにも歌を愛し、歌を大切に思っている森山が、一度だけ、歌と決別した時期がある。
「20代の前半ですね。結婚を機に、もう歌は歌わないと宣言して。今、思い返しても歌と離れていた1年半は苦しかったですね。歌手になりたく、歌のことだけ考えて生きてきたから、何をすればいいのかまるでわからなくて。中途半端なまま、ただ時間だけが過ぎていく感じでした」
だから――もう一度、自分のいるべき場所であるステージに立った森山は、二度と、歌と離れないと固く心に誓った。
「無限に時間があると思っていた若いころとは違って、これからは残された時間のことも考えなければいけない。だから、ひとつひとつ全力で丁寧にというのは、いつも心の片隅にあります。今年の目標は、50周年という節目の年に出したアルバム『Touch me…』とともに無事に一年を乗り切ること。そうすれば、また新しい出会いが、何かを運んできてくれると信じています」
※女性セブン2016年4月21日号