ビジネス

廃校舎利用の書店 ベストセラー置かずに全国から車が大行列

和歌山・新宮市の『ブックカフェ クジュウ』

 書店もアイデア勝負の時代。東京だけでなく地方でも、個性的な書店が奮闘している。廃校舎で金曜と休日だけオープンしているのは、和歌山・新宮市にある『ブックカフェ クジュウ』。教室の中だけでなく廊下にも本が並ぶ。

 和歌山・南紀白浜空港から車で1時間半。同店は山に囲まれ、コンビニも郵便局も見あたらない辺鄙な場所にある。それでも営業日の金土日祝日になると、かつて校庭だった駐車場には、和歌山はもちろん、大阪、滋賀、名古屋といった他県ナンバーも含めて常時10台ほどの車が並ぶ。

 2011年9月の紀伊半島大水害によって九重小学校は水没し、解体が決定した。そこに待ったをかけたのが一橋大学大学院で地域活性化を研究し、同年4月から和歌山・熊野川町にIターンをしていた柴田哲弥氏だった。

 7か月間役所に足を運んで許可を得て、最初はカフェを開業。その後、京都の個性派書店『ホホホ座(当時はガケ書房)』の店主と出会ったことで、書店併設のブックカフェに姿を変えた。

 開業にあたり、他の廃校舎からも本棚などの設備を集めたため、かかった費用はごくわずかだった。

「選書は『ホホホ座』に任せています。車で30分走れば書店があるので、市内で買えるベストセラーなどは置かず、本のジャンルは3か月ごとにガラッと変えます」(柴田氏)

■撮影/渡辺利博

※週刊ポスト2016年4月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン