ビジネス

三井物産と住友商事の合併観測 ハードルは低くない状況か

合併観測にハードルは?

 いま、商社マンたちの間で話題なのが、三井物産と住友商事の“合併情報”を報じた、月刊誌『文藝春秋』(5月号)の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」だ。同コラムには、次のようにある。

〈ここにきて業界筋でしきりと飛び交っているのが、三井と住友商事との合併観測だ〉

〈一部では「新会社の社名は『三井住友商事』になるのか、それとも『住友三井物産』か」といった気の早い話まで取り沙汰されている〉

 実現するなら旧財閥の壁を越えた業界大再編となる仰天話だが、意外なことに、名前の挙がった両社の中には“あり得ない話ではない”と受け止める社員が少なくなかった。

 総合商社の合併といえば、リストラの末に経営統合に至った双日(2003年に日商岩井とニチメンが合併)の例がある。それと比べると、三井物産も住友商事も2兆円以上の自己資本があり、多少の赤字ですぐに「合併による救済が必要」という状況になるとは考えにくい。

 ただし、ビジネス環境を見渡せば、「総合商社の統合」のハードルは低くなっている。業界関係者が語る。

「商社以外の業界で再編が進んだことの意味は大きい。たとえば、かつて住商は同じ住友グループの住友金属から独占的に商品を卸していた。一方、三井物産は新日本製鐵のほぼ独占的な卸問屋の役割を果たしていた。その時代に商社サイドの合併話が浮上していたら、双方の取引先から“ふざけるな”とクレームが入ったでしょう。

 しかし、住友金属と新日本製鐵は経営統合し、新日鐵住金になった。鉄鋼業界に限らず取引先となる業界の再編が進んだことで、商社統合の抵抗感は薄れてきたといえます」

 一方で、物産と住商が互いを「社風の違う会社」と見ているのも事実だ。住友商事の40代社員が言う。

「〈人の三井〉というだけあって、物産の社員は個人の裁量がある程度認められていて、社員も自信に溢れている。プライドが高いとも言えますが……。その点うちは〈石橋を叩いて渡らない住友〉です。みんなで考えて、慎重に判断する」

 三井物産中堅社員は、女性社員の扱いの違いで表現する。

「私が入社した頃、女性の事務職の扱いについてよく、『物産はネッカチーフ』『住商は雑巾』といわれていた。物産は女性を蝶よ花よで扱うけど、責任ある仕事は任せない。一方の住商は体育会系色が強くて、お茶みにコピーにと人使いが荒い。雰囲気は全然違います」

 もちろんこうした社風の違いは「いざ合併となれば、気にしている暇はない」(合併経験のある住友グループ企業社員)ので、決定的な障害とはならない。

※週刊ポスト2016年4月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン