国内

寄付する芸能人へのバッシング 日米文化の違いから解読

インスタグラムに寄付の振込明細写真を公開した紗栄子

 熊本地震の被災地を支援する芸能人に対し、ネット上でしばしば「売名」だという批判が出る。しかし、寄付が一般的になっているアメリカではそのような批判は少ないという。日米の文化に造詣が深い映画評論家の町山智浩氏が指摘する。

「『寄付大国』と呼ばれるアメリカと比べると興味深い。アメリカ人は“寄付は税金対策の選択肢”と考えています。自分が稼いだお金を税金でとられて、何に使われるのかわからないぐらいなら、自分が支援したいところに直接お金を出したほうがいいと考えているわけです。だから、売名が目的ではないし、寄付をした人が偉いというわけではない。それは税金対策で、自分の好きなことにお金を使っているわけですから。一方で、日本では寄付を“施し”であると受け取る感覚が強い」

 寄付を“施し”と捉えると、「上下関係」ができる。寄付する側が偉くて、寄付される側が一段低いというイメージ。だから、若い世代、とくに「若い女性」が寄付をすると、“何を偉そうに”と思われ、炎上を招きやすいのかもしれない。たとえば、500万2000円を寄付し、インスタグラムに振込明細の写真を公開した紗栄子(29才)の例などはそうだし、2013年9月に益若つばさ(30才)が「東日本大震災を風化させたくない」とフリーマーケットの売り上げを日本赤十字に寄付したときも、大きなバッシングが起きた。

「たしかに、アメリカでは有名人自ら“いくら寄付した”と公表することは少ない。多いのは、チャリティー団体の発表で判明するケースです。団体にとってはさらなる寄付を受けるいい宣伝になるし、有名人自身も発表自体を嫌がることはありません」(町山氏)

 日本の場合、寄付を受けた団体が大口の寄付者を公表するケースは稀だ。だから、有名人がいくら高額寄付をしていても、その多くは表に出ることはない。だから、一部で寄付を公表した芸能人がいると、逆に目立ってしまう。コラムニストの小田嶋隆氏が言う。

「有名人の社会的役割というのは、寄付したことを公表することにあると思います。ハリウッドセレブは目立つように寄付するじゃないですか。個人としての売名もあるかもしれませんが、社会における役割として、ボランティア活動や寄付をしているのだと思います」

 そもそも海外に比べ、日本人には寄付文化が根付いていないといえる。日本人が1年間で「寄付」に使う金額全体は2009年の約1.1兆円から、2011年の東日本大震災を経て、2012年の約1.4兆円まで増えている。それでもアメリカは27.2兆円(2012年)で、1人当たりの平均寄付額は日本の11倍を超える。

※女性セブン2016年5月12・19日号

関連記事

トピックス

還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン