さらに、500万とも600万人ともいわれるレイオフについて、「大量の労働者からご飯茶碗を取り上げることはできない。配置転換によって新たなご飯茶碗を与えなければならない。すでに政府は就業の再配置のために1000億元(約1兆7500億円)の基金を準備している」と述べて、長期的に安定的な就業の再配置を行うとの決意を示した。
しかし、中国の労働運動の調査機関「中国労工通信(CLB)」の韓東方代表は、「黒竜江省の炭鉱労働者デモからも分かるように、労働者は日々の生活もぎりぎりの状態だ。再配置が実行される前に、しびれを切らした労働者によるデモが頻発し、中国が混乱の渦に巻き込まれるのは火を見るよりも明らかだ」と指摘する。
【プロフィール】そうままさる:1956年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。産経新聞外信部記者、香港支局長、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員等を経て、2010年に退社し、フリーに。『中国共産党に消された人々』、「茅沢勤」のペンネームで『習近平の正体』(いずれも小学館刊)など著書多数。近著に『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)。
※SAPIO2016年5月号