ライフ

乳がん経験者の体験談 告知から6年で274万円かかった

 12人に1人がかかるといわれている乳がん。女性にとっては決して他人事ではない、重大な病気であるが、「もしも自分が乳がんになったらどうすれば…」と不安に思う人も多いだろう。さらに、治療費がいくらかかるかも気になるところだろう。そこで、乳がんを経験しているファイナンシャルプランナー・黒田尚子さん(46才)の体験談を紹介する。

 * * *
 私が乳がんの告知を受けたのは40才のとき。自治体が実施するマンモグラフィー検診(乳房X線検査)を受けたら、見つかりました。

 ファイナンシャルプランナーという仕事柄、病気にかかるお金のことも含めて人にアドバイスする機会が多いので、それなりにがんに関する知識があったつもりでした。そんな私でも、やはりがんだと知らされたときは、ショックでしたね。

 いちばん気がかりだったのは当時5才だった娘のことです。夫はひとりでもなんとかなるし、自分のこともあまり気にならなかった。やっぱり、頭にあるのは娘のことです。告知から数日は、娘の寝顔を見ては涙がこみ上げてきました。私に限らず、お金の悩みや不安が出てくるのは、治療方針の目途がたってからのことが多いです。

 実際にがんの告知を受けると、検査の段階からお金がどんどん出ていきます。まず入院・手術にお金がかかりますし、術後は病状に合わせて抗がん剤治療や放射線治療、ホルモン治療をすればさらに出費が。乳房再建手術、通院時の交通費、ウイッグ代なども必要に。

 手術まではこれまでの貯金や、ご主人の給料でなんとかなるかたが多いです。でも手術が終わった頃になって、“いつまでこの出費が続くのか”と心配になってきます。治療は手術だけで終われば短期間ですみますが、抗がん剤治療やホルモン治療をするとさらに半年、最長10年も治療が続くこともあります。

 参考までに、私が告知を受けてから約6年の間にかかったお金は約274万円です。そのうち病院に払った医療費は約330万円で、乳房再建費用が163万円です。保険適用外の乳房再建をしたので、高額になりました。

 がんにかかるお金はケースバイケース。治療内容によって費用は大きく変わってきますし、羅患した後、収入減少の可能性もあります。

――そもそも乳がん検診はお金がかかる。超音波とマンモグラフィーで約1万円と決して安くない。「まさか私が…」と思っていることもあり、実際日本人女性の検診率は欧米諸国よりずっと低く3割未満。

 しかし、検診を受けていると早期発見の可能性が高くなり、結果的に治療期間も短く、再発リスクも低くなる。命が助かるのはもちろん、出費も抑えられるのだ。自宅でのセルフチェックと、年1回の乳がん検診は家族のためにも欠かしてはいけない。

※女性セブン2016年5月12・19日号

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン