芸能

前田敦子 勇気と覚悟見せる『毒島ゆり子』で脱皮か

番組公式HPより

 アイドルから女優へ。言うは易く行うは難し、が現実だが、さて国民的センター・前田敦子の場合はどうか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 あっちゃんが、深夜枠で暴れている。“深夜の昼ドラ”を標榜する異色ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(水曜24時10分TBS系)の中で。

 キスシーンやベットシーンの連発、三角関係のドロドロ。見かけ上は、スキャンダラスでエロい刺激作。だけれど実は、細かな作り込みと丁寧な仕掛け、遊び心満載の秀作。どこかスカっと醒めている主人公の「毒島ゆり子」。そう、前田敦子が演じる不思議な透明感漂う人物像が、面白い。

 かつてはAKB48の選挙で1位を獲得し正真正銘の人気アイドルであり、写真集ではペコちゃんの表情でファンを魅了。という数々の「過去の栄光」からあっけらかんと脱皮した、新しいあっちゃんがそこにいる。

 物語は、超恋愛体質のかけ出し政治記者・毒島ゆり子を軸に回っていく。彼女には生きる上での奇妙な「ルール」が3つ。

・幼い頃、父親の不倫を目撃しトラウマに。だから不倫は絶対ダメ。

・とは言いつつ超のつく恋愛体質で、常に複数の彼氏がいないとダメ。いつ男に裏切られてもいいように準備。

・二股、三股を掛ける時には、必ず相手の男に宣言する。

 そしてゆり子は、スクープ連発の先輩政治記者・小津翔太(新井浩文)に惹かれていく。だが、実は小津は既婚者だった……。

「毒島」は「どくじま」ではなく「ぶすじま」と読ませる。性格ブス、「毒ある人格」ということも含んだ凝った主役名だ。古来よりトリカブトからとれる毒は「附子」(ぶす)と呼ばれてきた。その毒は口に含むと神経系の機能が麻痺して無表情になるがゆえ、「附子」は「ブス」の語源とされるのだとか。

 という一筋縄ではいかない脚本の「ねらい」も理解しあっという間に不可思議な人物になりきっている前田敦子。「ぶす」という役名にひるむこともなく体当たりする勇気に、一票入れたい。

 少女的であり悪魔性も持ち、破壊力があってグズグズしてて……含みのある役を演じているだけではない。「政治記者」役というのも、ミスマッチゆえの面白さ。失礼かもしれないが、前田敦子のイメージと「記者職」「ジャーナリスト」はまったくもって乖離している。が、そんな先入観にも足をすくわれないあっちゃん。次々に「新しい自分」へとジャンプしていく潔さが、このドラマの推進力になっている。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト